中学生に温かい給食を 東村山市で3年後目標に「全員」実現へ 現在は弁当か冷えたランチボックス
岡本太 (2023年12月12日付 東京新聞朝刊)
東京都東村山市は、3年後の2026年度を目標に、市立中学校のすべての生徒に温かい給食を提供すると発表した。東村山市の中学生は現在、自宅から弁当を持参するか、冷えた状態で提供されるランチボックスを注文しており、保護者などから改善を求める声が上がっていた。
陳情「全員給食を実施してください」
「(誰もが)安心しておいしい給食が食べられるよう、全員給食を実施してください」。今年2月、市議会に提出された陳情には、そんな市民の声が紹介されていた。陳情は市内の中学校で、小学校と同じような温かい全員給食を求める内容。8カ月後の今年10月、全会一致で採択された。
東村山市の現在の給食が始まったのは2001年。市は財政的な事情に加え、一部保護者からは弁当を持たせたいとの希望があるとして、弁当と民間業者のつくるランチボックスの選択制を導入した。
ただランチボックスは、給食センター方式で作る給食のように高温のまま運ぶことはできず、食中毒が起きないよう冷やした状態で運ばざるを得ない。そのため生徒は、弁当とランチボックスのどちらを選んでも、小学校のように温かい給食を食べることはできなかった。
共働きの増加や施設の老朽化で検討
東村山市は今回、制度導入から約20年が経過して共働きの家庭が増えたことや、民間業者の施設が老朽化していることなどを理由に中学校給食の在り方を検討。今月1日、26年度中の実施を目標に、市内すべての中学生に温かい給食を提供すると明らかにした。
今後、国や都が学校給食費の無償化を実現した場合、選択制のままでは対応が難しいとの判断もあった。新たにセンターを建設するには用地確保などの課題もあることから、具体的な提供方法などは今後決める。
ランチボックスと弁当の選択制による給食は、多摩地域では現在、東久留米市や国分寺市などでも実施されている。