<子どもの身を守る㊦>小学生でもできる「護身術」…とっさのとき、逃げるために
狙いは「弱点を突いて、相手を一瞬ひるませる」
訪れたのは、5月中旬に愛知県小牧市の小学校で開かれた特別授業。不審者やいじめへの対処法などを教えているNPO「セルフディフェンスコミュニケーション開発」(名古屋市中村区)のメンバーたちが「手をつかまれたら?」「口をふさがれたら?」など、さまざまなケースごとの護身術を実演し、子どもたちが練習した。
同団体は、15年前から各地の小中学校などで護身術を教えている。代表の青嶋宮央さん(54)は「子どもを狙う不審者は、あまり特定の子に執着しない。とっさに抵抗されると、リスクを負わずにあきらめることが多い」と話す。
護身術というと、相手の力をいなしたり、逆手に取ったりするイメージがあるが、難しいことはとっさのときには実践しづらい。同団体が重視するのは、襲ってくる相手の弱点を突いて一瞬ひるませ、逃げる隙をつくることだ。
口をふさがれたら?背後から抱え込まれたら?
まずは、腕をつかまれた場合。つかまれた腕を引っ張っても、なかなか太刀打ちできない。そんなときは、まず両手をしっかりと組み、そのまま弧を描くように早く大きく回すと振りほどきやすい。
いきなり口をふさがれることもある。そんなときは、相手の手首や手の甲よりも指1本をつかんだ方がはがしやすい。特に小指なら、相手は力を入れにくいし痛みを与えることができる。首をつかまれた場合も、腕ではなく指1本をつかんだ方がよい。力いっぱい腕をつねるのも有効だ。できればひじのあたりより二の腕の内側で脇に近いあたりがよい。
背後から抱え込まれた場合、暴れるとバランスを崩して押し倒され、組み敷かれる危険がある。立ったまま、相手のすねに自分のかかとを当て、こすり付けるようにして一気に下ろすと、痛みを与えて隙をつくりやすい。
戦うためではなく、隙をつくって逃げるための技
抱きかかえられて車に乗せられそうになったら、とにかく手足を振り回そう。ドアの周りに手足が引っ掛かって時間をかせげれば、その間にだれかが通りかかるかもしれないし、犯人にもそう思わせることができれば、犯行をあきらめるかもしれない。単純ながらかみついたり、引っかいたりするのもダメージを与えられる。
とっさの時にこうした対処をするのは難しいが、親子で繰り返しやってみて、子どもが思い出せるようにしておくことが大切だ。青嶋さんは「護身術は戦うためではなく、隙をつくって逃げるための技。逃げたらすぐに、スーパーやコンビニ、ガソリンスタンド、喫茶店などに逃げ込んで」と呼び掛ける。
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