流山市に高度なICT機器をそろえた市野谷小学校が開校 16社が協力「これまでにない多様な学習空間を」

林容史 (2024年4月3日付 東京新聞朝刊)
 流山市で18番目の小学校として今春開校する市立市野谷小に、民間企業と連携し、情報通信技術(ICT)を活用した教室が誕生する。IT大手などが支援に名乗りを上げ、機器やソフトを提供し、新しい教育のあり方を提案する。

今春開校する流山市立市野谷小学校

アバターでオンライン運動会!?

 連携するのは、富士電機ITソリューション(東京都千代田区)を幹事社に、エプソン販売(同新宿区)、ビープロジャパン(埼玉県戸田市)など16社。プロジェクターやゲーミングPC、3Dプリンター、ソフトなど、他校にはない高度な機器を提供する。

 ソニーマーケティング(東京都港区)は、6つのセンサーを身に着け、スマホアプリでアバター(分身)を動かすシステムを提供する。同社担当者は「ダンスやオンライン運動会を提案したい」と話す。

センサーを着けて身体を動かすと、画面上のアバター(分身)も動くソニーのモーションキャプチャーシステム「mocopi(モコピ)」

 流山市教育委員会や学校、参加企業が1年ほどをかけ、教育効果の検証を進めていく。市教委教育総務部の吉田瑞穂次長は「これまでにない多様な学習空間を実現したい」と期待を寄せる。国のGIGAスクール構想で1人に1台、タブレットPC端末が整備され、全国的に必要性が薄れているコンピューター教室の活用法についても模索する。

 3月23日に開かれた開校式に出席し、取材に応じた地元選出の斎藤健経産相は「教育は試行錯誤の積み重ね。結果を全国の学校で共有し、新しい技術を使った教育をブラッシュアップしていくことが大事」と力を込めた。 

子育て層の流入で開校ラッシュ  

 開校式には、地域住民や工事関係者ら約80人が出席。井崎義治市長は「人工知能(AI)技術の進歩は日進月歩。子どもたちには社会に対応できる力を培ってほしい」と話した。流山市出身のシンガー・ソングライターの加賀谷はつみさんが作詞作曲した校歌をお披露目したほか、関係者がテープカットした。

 2005年のつくばエクスプレス(TX)開業に伴い、流山市内の駅周辺では大型マンションや住宅の建設が進み、子どもが増加。市立学校の開校ラッシュが続いている。2021年におおぐろの森小、2022年におおぐろの森中が相次いで新設され、2024年は市野谷小に加え、南流山第二小も開校する。

 市野谷小は、児童数が1700人を超したおおたかの森小から分離し、八木南小の児童も一部、通学する。16学級で児童数は413人。敷地面積は約2万平方メートル、校舎は4階建て。普通教室は88平方メートルの広さがあり、窓側に多目的スペースを設け、電子黒板を備える。設計・建設費、土地取得費などは計約78億円。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2024年4月3日