ドキドキの授業参観 教室の空気が止まった次男の不適切発言〈加瀬健太郎 お父ちゃんやってます!〉
先月、次男と三男の授業参観があった。1年生の三男の教室には、おもちゃみたいに小さな机と椅子が並ぶ。授業中もみんな後ろを振り向いて、親に手を振ったりする。ただただかわいい。
6年生の次男の授業参観。科目は社会。一番落ち着きがなさそうなのが、うちの次男。「椅子の後ろ脚だけでバランスとって、ゆらゆらしないでくれ!」と、汗が出る。そういえば、僕も通信簿に「落ち着きがない」と6年間書かれた。
みんなが静かに野菜の産地を地図に書き込む中、なぜか次男の鼻歌が教室に響く。「授業中にやめてくれ!」と、汗が出る。そういえば、僕も「撮影中、鼻歌歌ってますけど、なんの歌ですか?」と、よく仕事先の人に聞かれる。
「皆さん、ミョウガって野菜は知ってますか?」と先生。「紫の野菜」「豆腐にかけるやつ」と、みんなが答えていると、次男も手を挙げ、「金玉をとがらしたみたいなやつ」と言った。教室の空気は一瞬ピタリ、と止まったが、先生、生徒、保護者までも、次男の不適切発言なんて、なかったかのようにスルーした。その時の僕は、「うちの子ではありませんよ」みたいな顔をしていたと思う。
家に帰って、早速妻にこのことを話すと、「それあんた。そのまんまあんた。私じゃないよ」と言った。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)
写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。13歳、11歳、7歳、3歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。