授業は塾講師と教諭の2人で 南房総市の中学で導入 「みんなが分かる授業」目指し、きめ細かく対応

山本哲正 (2024年10月5日付 東京新聞朝刊)
 「みんなが分かる授業」へ、千葉県南房総市の中学校で先月から、塾講師を教室に迎えて教科担任と2人体制の授業を始めた。本年度はまず嶺南中で全学年延べ30時間程度実施する。県内でも珍しい試みという。

塾講師(奥)と教員の2人で進めた数学の授業=千葉県南房総市の嶺南中で

問題解く生徒を2人で見回り

 定期テストを前にした先月11日、2年生の数学の授業で教壇に立った男性塾講師(46)は比較的難しい問題を、数学担当教諭は基礎問題をそれぞれ解説。生徒が問題を解く時間には2人で見回り。講師は「もっとスムーズな解き方もあるよ」などと教えていた。事前に打ち合わせた授業内容は30分ほどで終えてしまい、講師は「思ったより皆よくできてる」と驚き、授業を先へ進めた。

 生徒たちは「自分が分からなかった問題を徹底的にできた」「自分のペースで進められ、良いテスト対策になった」と喜んでいた。

 市教育委員会は、子どもたちの学習習慣の定着や学力向上へ、夏休みや放課後に塾講師が教える「学習講座」を開講。嶺南中から「数学で個々の学力差が大きく、習熟度に合った指導をしたい」と相談があり、学習講座の発展版として講師との2人授業に踏み切った。

習熟度に差がある教科に効果

 講師は「最初は緊張していた生徒たちも、慣れてくると質問してくれるようになった」と手応えを語った。同校の安田道明校長は「学習意欲向上のきっかけになったらうれしい」。市教委子ども教育課の関口明快さんは「一つの解き方にとどまらず、応用技を教えているところに、塾講師らしさを感じた」と話す。

 市教委では、生徒たちの反応や効果を検証し、来年度は希望する学校での実施を検討するという。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2024年10月5日