中学生の10人に1人「本当は学校が嫌」 疲れる、授業が分からない…
神谷円香 (2018年12月13日付 東京新聞朝刊)
日本財団は12日、中学生の10人に1人が、通学はしているが学校に通いたくないと考えている「不登校傾向」にあるとの調査結果を発表した。文部科学省が公表している実際の不登校者数の3倍にあたる。財団の担当者は「学校側が答える文科省調査と異なり、当事者の声をとらえた」とし、対策を求めている。
授業は受けていても心の中で「つらい、嫌だ」
文科省は不登校を「病気や経済的理由以外で年間30日以上欠席する生徒」と定義している。
調査は10月、中学生約6500人を対象にインターネットで実施。年間30日未満だが1週間以上続く欠席がある生徒は全体の1.8%▽校門や保健室などには行くが教室に入らなかったり、給食だけ食べる「部分登校」などが4.0%▽授業は受けていても心の中で「学校がつらい、嫌だ」と思っている「仮面登校」が4.4%いた。
こうした生徒を不登校傾向とすると全体の10.2%で、全国の中学生から推計すると33万人。2017年度の文科省調査では、不登校の中学生は約10万9000人で、不登校傾向の生徒は3倍にのぼる。
専門家「学ぶ方法を子どもに選ばせてほしい」
学校に行きたくない理由では「疲れる」「朝起きられない」のほか、「授業がよく分からない、ついていけない」「テストを受けたくない」が多く、家庭や友人関係より体調面や学業的理由が目立った。「自分が学びたいと思える場所」を複数回答で聞くと、「自分の好きなこと、追求したいことを突き詰められる」が58.1%、「自分の学習ペースに合った手助けがある」が44.6%と続いた。
日本財団の調査に助言したNPO法人全国不登校新聞社の石井志昂(しこう)編集長は「形だけ学校につなぎ留められ、その子にとって学びが機能していないのは喫緊の課題」と指摘。東京大先端科学技術研究センターで学習支援を研究する高橋麻衣子講師は「学業に関する要因は、大人が介入することが可能。子どもたちは学びたいと考えており、方法を選択させてほしい」と訴えた。
調査結果は日本財団ホームページで公開している。