僕のママは、痛い注射もいっぱい頑張ったんだ〈清水健さんの子育て日記〉29
友だちに写真を見せて「僕のママだよ」
「僕のママだよ! 痛い注射もいっぱい頑張ったんだ!」。家に遊びに来て、部屋に飾っているママの写真をじっと見ていたお友だちに、ママのことを説明していました。少しドキドキしながらも「僕のママ」と自慢するように話す息子の姿は、大丈夫かなと心配するパパの気持ちを笑顔にしてくれます。
2月は妻の七回忌でした。
あの時、生後3カ月だった息子。荷物の整理をしても、当時のままにしておくものがまだある。部屋のレイアウトを変えるとき、まず妻の場所を決める。息子のことや仕事のことで悩んだとき、どうしたらいい?と写真の前で座り込むときもある。変わるものと変わらないもの。6年が過ぎても、こんなもんです。でも、「いない」ことの現実を今、はっきりと受け止めることもできています。
元気です 僕たちがいる「こちら」側
お花を送ってくれた妻のお友だちが「こちらは、みんな元気で頑張っていますよ!」と、妻にメッセージをくれました。「こちら」、今、僕たちがいる、こちら側。みんな元気です。笑っています。笑えています。
息子とは、野球のセーフかアウトかでムキになってけんかもする。仕事が続いてなかなか休みがとれないと、「明日はパパ、お仕事、お休み?」と小さな声で遠慮しながら聞いてくる。「うん」って答えると、「やったー!」って喜んで、次の朝、6時から、公園で走り回れている。
ママのことをふたりで話せた、七回忌
「ママは、キレイなお花がいっぱいのところにいるんだね!」。法要での住職さんの話をうれしそうに話す息子。「会いたい?」。そんな当たり前の、でも、今まであまり話したことがなかったこともふたりで話せた七回忌。「ママ」のことに真正面から向き合う時は、まだまだ、これから、なんだと思う。でも、「ママは優しかった?」と、ママという言葉を、少しずつ、笑顔で、息子と交わせるようにもなってきました。
この間、息子の初デートに付き添いました。自分のデートより緊張してヘトヘトになったけど(笑)。息子は手を合わせてうれしそうに、「今日は楽しかったよ!」と写真のママに報告していました。
強く見えても寂しい思いもあるかもしれない。そんな息子の心を一番にわかってあげられる父親でいたい。そして、写真の中のママだけど、いつもの「日常」を、ふたりで笑って話しかけられる、そんな親子でいたい。
七回忌を無事、おえました。 (フリーアナウンサー)
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