怒ってばかりの子育てから抜け出す方法 ポイントは「25%できたらほめる」
叱るのは逆効果 反抗的な態度が増えることも
「叱ることは、子どもに否定的な視線を注ぐこと。かえって反抗的な態度が増えることもあり逆効果です」
心身障害児総合医療療育センター(東京都板橋区)の外来療育部長で小児科医の米山明さん=写真=は、こうアドバイスする。反抗的な態度を繰り返す場合、子どもに怒りをぶつけたりするのをいったんやめ、好ましい行動が出るのを待つことが大事という。
例えば、親が机で仕事をしている時に、幼児期の子どもが「話を聞いて」と付きまとい、忙しい親が相手をしてくれるのを待つことができずに「ばか」と口答えしたとする。それに対して親が叱ると、子どもはさらに反抗してやりとりが続き、悪循環になるだけだ。
「親は体の向きを変えて子と視線を合わさず、怒っている様子を見せないようにして、待つことが効果的です」。子どもが落ち着いて一人で遊び始めたら、待てたことをほめるようにする。ほめて肯定的な視線を子どもに注ぐことで、子どもは認められていると感じ、反抗的な態度も自然に減っていくという。
おもちゃを片付けない子に対しては、例えば、「あと3回やったら片付けようね」と話しかけて理解させたり、「車を片付ける? 積み木を片付ける?」と子に選択させたりして、指示に従えたらほめてあげる。
反抗的な子に、親は「ほめることが何もない」と感じるものだ。だが米山さんは「100%ではなく25%できた時点でほめるのがポイント」と強調する。100%を目指すと、途中で遊んだり、うまくできなくて泣いたりして、結局ほめないまま終わってしまうことが多い。
例えば1人でパジャマに着替える際、パジャマを持った時点や、ボタンをかけようと努力している時など、ささいなことができたらほめるよう心掛ける。
もしかして発達障害…? 迷わず専門家に相談を
親が何度注意しても行動が改まらなかったり、他の子が普通にできることができなかったりする子の中には、発達障害が隠れていることがある。
発達障害は、脳機能に偏りがあることが原因とされ、じっとしていられなかったり、衝動のコントロールが難しかったりする注意欠陥多動性障害(ADHD)、コミュニケーションが苦手な自閉症やアスペルガー症候群、学習障害(LD)などがある。発達障害の場合、親は育てにくさを感じて悩むことが多いが、米山さんは「親のみで抱え込まず、専門家に相談することが大事」と話す。
2005年に発達障害者支援法が施行されて以降、子どもの行動を心配して発達障害を疑う保護者からの相談は増加傾向にある。同センターでも、診断を受けるには1年待ちだ。
都道府県や政令市は、発達障害者支援センターを設置しており、臨床心理士や言語聴覚士、作業療法士らが子どもの様子を観察しながら、保護者に子育てのアドバイスをしてくれる。小学校に入ってからは、教育支援センターやスクールカウンセラーにも相談できる。
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