おむつ外しはいつ?焦らないでOK トイレトレーニング「3つのポイント」専門家が解説 発達に合わせて待つことが大事

(2023年12月13日付 東京新聞朝刊)
 子どものおむつがなかなか外れず、不安に思う親は少なくないのでは―。2歳10カ月の長女を育てる記者(35)もトイレトレーニングが気になる一人。「トイトレ」の心得を専門家に聞いた。

外れた時期は「3歳前半」が最多

 紙おむつなどを扱う王子ネピア(東京)の今年6~7月の調査(1060人対象、92人回答)では、第1子のおむつが外れた時期は、3歳前半(30.4%)が最も多く、次いで4歳後半(17.4%)、3歳後半(15.2%)の順だった。記者は、親から「あなたは1歳代でおむつが外れた」と聞かされていた。今は、おむつの外れる時期が遅れているのか。

 昭和大小児科学講座教授の池田裕一さんは「遅れているとは感じない」ときっぱり。「昔は、親目線で1歳になったらおむつを取りましょうという考え方があったが、最近は子どもの発達に合わせて進めようという意識が広がっている」と説明する。

発達を見極める「3つのポイント」 

 では、発達を見極める際のポイントは―。池田さんは3点を挙げる。

 まずは、おしっこの間隔が少なくとも1時間半は空くこと。間隔が短いと、何度もトイレに連れて行くことになり大変だ。ぼうこう機能は脳の発達とも影響しており、発達を待つのが良いという。

 次に、歩いてトイレに行き、ズボンなどを脱いで座るところまで一人でできること

 最後に「トイレに行きたい」という意思表示を、言葉でなくても身ぶり手ぶりでできること。子どもによって、歩き出したり、2語文を話したりする時期が異なるように、「その子の成長を見極めて」とアドバイスする。

親のイライラ いま振り返ると… 

 それでも失敗を繰り返すと焦ってしまうのが親心。3児の母の亀井沙知さん(34)=横浜市=は「ずっとイライラしていた」と振り返る。布おむつを使っていたところ、周囲の人から「布おむつなら早く外れるね」と聞かされてきたため、長男が1歳を過ぎた頃にトイトレを始めた。

 思いとは裏腹にトイレに誘っても全く行きたがらなかった。おまるにも座らず、お漏らしされるたびに「なんで」とイライラ。部屋の扉を閉め「出てこないで!」と叫んだ日も。「いま振り返ると勝手に期待を押しつけていた」

「風呂場でおしっこ」はチャンス 

 長男の時の苦しみを繰り返さないようにと調べるうち、「おむつなし育児」という方法に出合った。おむつをしないわけではなく、タイミングを見極めておむつを外し、おまるや風呂場など開放的な場所で排せつさせる。子どもを観察していると、しぐさなどで排せつしたいサインが分かってくるのだという。 

 2人目からは「子ども目線で気持ちのいい排せつを意識」し、スムーズにおむつが外れたという亀井さん。今では「おむつ外しの専門家さっちぃ先生」としてインスタグラムを中心に活動する。一般的な紙おむつを使う保護者からの相談も多いといい、おむつなし育児をしてこなかった人にも「お風呂などおむつ以外の場所でおしっこをしてしまった時に『気持ちよかったね』と声をかけることで、おむつの外で排せつすることに少しずつ慣れていく」ことを勧める。

「2歳半以降に…」いいね1万件 

 トイトレにつまづき、悩む人は少なくない。SNSには揺れる当事者の声が目立つ。東京都立小児総合医療センターの専門家が3月、「排尿の強制は排尿機能異常の原因になりえるので、2歳半以降に焦らず行うこと」と発信したところ、1万件の「いいね」が集まり、「肩の荷を下ろしてくれた」「焦ってたけどほっとして涙出そう」などと書き込みが相次いだ。

 穏やかな気持ちで子どもと向き合うには、どうしたらいいのか。前出の池田さんは「トイレに誘っても行きたがらない場合は、まだ準備が整っていないと受け止めればいい」と指摘。「午前だけ、週末だけ、といった具合に親の余裕のある時だけトイレに誘えばいい。時期がくれば外れるので、周りの子と比べないで」と呼びかける。