認可保育「入れない」のは4人に1人 東京都内など本紙調査で判明 幼保無償化で待機児童が増える懸念も

山田祐一郎、渡辺聖子、神野光伸 (2019年3月30日付 東京新聞朝刊)
 4月に認可保育施設に入る子どもの大半が決まる1次選考の申し込み状況について、本紙が東京23区や政令市など1都3県の計31市区にアンケートしたところ、募集枠より多い申し込みがあり、約25%が入れない状態だったことが分かった。各自治体で保育施設の整備を進めているが、入りづらい状況は依然として続いている。10月からは幼児教育・保育の無償化が始まることから、待機児童がさらに増加する懸念も多くの自治体から寄せられた。

 

東京23区は5ポイント改善 世田谷など悪化した区も

 本紙は東京23区と神奈川、埼玉、千葉県の政令市5市に加え、昨年4月1日の待機児童数が200人以上だった東京都府中、国分寺市、千葉県市川市を対象にアンケートを実施。全ての自治体から回答を得た。ただ、千葉市は募集人数を回答しなかったため、集計から除いた。

 30自治体の集計で、申込者数は計11万7948人。申込者数を満たす募集枠を各自治体が用意できていたかを調べるため、0~5歳の年齢ごとに計算して足し合わせたところ、2万9225人分が足りなかった。これは、申込者の24.8%にあたる。35市区を対象にした前年調査では29%だった。

 自治体別で募集枠の足りない割合が最も高かったのは港区で43%、千代田区42%、世田谷区41%と続く。募集枠から漏れる人数では、川崎市の3066人が最多で、次いで横浜市の3029人、さいたま市の2755人となった。

 

 各自治体は保育施設の整備を進めており、前回も調査対象だった30市区で比較すると、23市区で前年より募集枠の足りない割合が改善した。東京23区全体では、5ポイント改善し27%になった。

 一方、北、豊島、世田谷区など6市区は前年より悪化した。

幼保無償化の影響は?「3歳児クラスの申込が増えた」

 アンケートでは、国の幼保無償化についても意見を聞いた。既になんらかの「影響が出ている」と答えたのは、世田谷、杉並、北、練馬の4区。「申し込み増加につながっているとみられる」(北区)、「3歳児クラスの申込者数の増加」(世田谷区)などとした。

 ほかの27市区は、現時点での影響は否定。しかし、多くの自治体が「保育需要がさらに増え待機児童が増加する可能性がある」(墨田区)、「保育士不足の加速」(中央区)、「事務負担の増加」(千葉市)など今後の懸念を挙げた。

 また、認可外保育施設も無償化の対象となったことから、「保育の質の確保に向けて課題」(文京区)「指導監督の職務が増大する」(中野区)などの声もあった。

調査の方法

 本紙は2013年から毎年この時期に、認可保育所などへの4月入所申し込み状況を調査している。各自治体の募集枠と申込者数を年齢別に比較し、入れない人数と割合を出す。今回も同じ手法だが、千葉市は募集人数の回答がなく、集計から除外。東京都中野区は年齢別の申し込み人数を公表しないため、申込総数と募集枠総数の比較で計算。募集枠では、中野区が地域型保育事業で1,2歳児を、豊島区は認可保育所の4、5歳児を、それぞれ合計して回答したため、便宜上、人数を均等に分割し集計した。江戸川区のゼロ歳申し込み人数は2次募集のもの。1次募集でゼロ歳の受け付けをしていないため。

【2019年4月3日 追記】記事と表に一部誤りがあったため、訂正しました。千代田区の保育施設に入れない割合と人数が誤っていました。入れない割合が51%とあるのは42%、人数が350人とあるのは290人でした。このため、自治体の割合で最も高かったのは港区で、千代田区は2番目でした。入れない子の総数は30市区で29225人、東京23区で18701人です。