小金井市立保育園の廃園計画 財政効果の過大計上疑惑に市長は「総合的な判断」と釈明 一部市議が「詐欺みたい」と反発
花井勝規 (2022年8月3日付 東京新聞朝刊)
東京都小金井市が市立保育園5園のうち老朽化した3園を廃園する方針を打ち出した問題を議論する市議会全員協議会が1、2の両日、開かれた。廃園による財政効果の過大計上疑惑について、西岡真一郎市長は「人材確保の困難性、施設の老朽化などさまざまな課題を総合的に判断した。財政効果だけで方針を決めたわけではない」と釈明した。
園児の転園コストを計上せず
小金井市は、2園を先行して廃園とした場合、5園を維持した場合と比べて10年間で計27億1000万円のコスト削減ができる、と説明してきた。しかし、園児226人が民間保育園に転園した場合に増える市の負担分約11億円を計上していなかったことが、市議の指摘で判明した。
5園を維持するのと比べると廃園する方が市の負担は減るが、コスト削減分は15億7000万円に縮むことになる。2園を廃止ではなく民営化した場合に想定される削減分の18億7000万円より小さく、試算上は廃園の意義が揺らいでいる。
19日に市議会で再び全員協議会
小金井市は「『施設』に着目した試算」という表現を加えた新たな財政効果比較表を配布した上で「(市が運営、保有する)園の数が減るという考え方で試算した。正しい数字で、誤りがあるという認識はない」と説明。当初示したコスト削減の試算27億1000万円の正当性を主張した。
一部市議は「詐欺みたいな試算だ」と反発。市議会は19日に全員協議会を再度開催し、この問題を話し合うことで合意した。