気づきにくい、表現しにくい「自分の気持ち」をカードで伝えよう かわいいイラストに75の言葉「こころとからだコンディションカード」
出田阿生 (2022年9月20日付 東京新聞朝刊)
自分の気持ちも誰かの気持ちも、意外と気付きにくいし、伝えにくい。そんなときはカードを使ってみて-。絵本やウェブサイトを通じ、心の不調を抱える親子や家族を支援するNPO法人「ぷるすあるは」(さいたま市中央区)が、イラストと言葉で体や心の状態を表現したカードを制作した。自分の状態を意識したり、他人とコミュニケーションしたりするのに役立ててほしいという。
「イヤ」「困ってる」会話のきっかけに
先月完成したのは「こころとからだコンディションカード」(合同出版)。3種類の「からだカード」(体調)、「きもちカード」(気持ちや感情)、「脳とこころカード」(脳や心の不調)に75の言葉を選んでイラストをつけた。
「今の調子はどう?」と聞いても、子どもはうまく表現できないことも。そんなとき、カードがあれば会話のきっかけができる。「うれしい」「イヤ」「困ってる」など、さまざまな表情をしたかわいいイラストが緊張をほぐす。
中には「死にたくなる」というカードもあるが、これは「死にたい気持ちについて話しても大丈夫だよ」というメッセージを込めたもの。絵を描いた細尾ちあきさんは「特に思春期の子は悩んでしまうことが多いと思う。このカードで、前向きでも後ろ向きでも、どんな気持ちがあっても大丈夫だよと伝えたい」と話す。
教育や医療 大人の気持ちの整理にも
養護教諭やカウンセラーなど教育や医療、福祉で子どもの支援に関わる人が、会話や相談、面接などで使うことが想定されるが、使う人次第でさまざまに活用できそうだ。「大人が自分の気持ちを整理するのに使える」「家庭内でのコミュニケーションに役立てている」といった声も寄せられているという。「ぷるすあるは」の北野陽子代表は「どんな方にでも気軽に使ってほしい」と話している。
3740円(税込み)で、ネットや大型書店で購入できる。問い合わせは合同出版=電話042(401)2930=で受け付けている。