ぽんこちゃんと映画館へ…最後まで見られるかな?〈古泉智浩さんの子育て日記〉40

(2023年2月17日付 東京新聞朝刊)

保育園への登園をしぶることもあるぽんこちゃん(左)

アニメなら大丈夫と思ったが…

 保育園に通うぽんこちゃんが、またしても園で新型コロナウイルスの濃厚接触者になってしまいました。今回は土日を挟まなかったため、丸々1週間お休みしました。

 実はここ最近、「ぽんこちゃん、ほいくえんだいすきじゃないんだ」と、朝の登園を拒むことがよくありました。

 「きょうはおやすみ?」

 普段は土曜保育もお願いしているので、ほぼ毎日、お休みではありません。濃厚接触でお休みが続いた間、その質問に「お休みだよ」と答えると、「やったー」とうれしそうにしていました。

 しかし、僕も仕事があるわけで、午前中の面倒を見て、午後はママやおばあちゃんにお願いするなど、分担してなんとかやり過ごすしかありません。今年は雪が多く、公園に連れて行っても誰も遊んでいません。

 そこで、「金の国 水の国」というアニメ映画を見に行きました。ぽんこちゃんは家では大人と一緒にドラマも見ています。かわいらしい絵のアニメなら大丈夫かなと思ったのですが、全然小さい子向けではないため、少しすると「ジュースがのみたい」と外に出たがりはじめました。

小声で「もう少しで終わるから」

 でも、せっかくお金を払った以上、最後まで見たいではないですか。「もう少しで終わるから」と小声で言い聞かせました。そんなことが何度も繰り返され、ようやくエンドロールになった途端、ぽんこちゃんは席を立って廊下に出ました。この映画はエンドロールも絵がゆっくりとスクロールしていて、僕はそれも最後まで見たかったのです。

 廊下から「パパー!」という大声が聞こえます。諦めて廊下に出て売店でジュースを買いました。ぽんこちゃんが偉いのは、映画に飽きても大きな声を出したり立って歩き回ったりしなかったことです。映画が始まる前に流れた映像の注意事項をちゃんと守っていました。

 「金の国 水の国」は恋愛がテーマでありながら、敵対する国どうしの内政と外交を描いた骨太の政治ドラマで、すごく面白かったです。もっと落ち着いて見たかった。子ども向けじゃない映画をチョイスした僕の完全なミステイクでした。

 ちょっと前に「スラムダンク」の映画も一緒に見に行きました。始まってしばらくすると飽きて、ジュースとトイレで2回外に出ましたが、家に帰ると「るかわくん、うちにこないかなー」「もういっかい、みにいきたい」などと言っていました。

古泉智浩(こいずみ・ともひろ)

 漫画家。養子の8歳男児うーちゃんと、5歳女児ぽんこちゃんを育てる。