現在の保育士の配置基準では「子どもの安全を守れない」 横浜市の団体がアンケート結果公表
神谷円香 (2023年4月26日付 東京新聞朝刊)
横浜市内の保育園などが加盟する横浜保育問題協議会は、政府が今年打ち出した「異次元の少子化対策」で改善に取り組むとしている保育士の配置に関し、市内の保育者や保護者を対象に行ったアンケート結果を発表した。ぎりぎりの人数で回している現場からの切実な声が多く集まった。
保育士1人が受け持つゼロ歳児の数は?
アンケートは先月6~26日にインターネットで実施。保育士や保育補助、運営法人の理事長、給食や事務担当なども含めた保育者296人、保護者237人が回答した。
保育士1人が受け持つ子どもの人数である配置基準について保育者に聞くと、国基準で3人とされているゼロ歳児では、適切だと思う人数は8割強が「2人」と答えた。国基準で30人となっている4、5歳児も、半数の15人以下を求める声が多かった。自由記述では、配慮の必要な子どもが増えているために手が足りないなど余裕がなく、長時間労働で休みも取りにくい現状の訴えが目立った。
「ちょっと待ってね」ばかりでは心配
保護者からは、現在の基準では災害時に「子どもの安全が守れない」と懸念する回答が「どちらかと言えば」を含めて8割近くに上った。送迎時に保育士が忙しそうで声をかけづらいと「よく感じる」または「たまに感じる」との回答も8割だった。
20日に市役所で会見した辻村久江会長は「子どもに『ちょっと待ってね』『後でね』ばかり言うと、子どもが『大人はいつも答えてくれる、守ってくれる』と思えなくなるのが心配」と話し、国に配置基準の改善を訴えたいと述べた。
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