保護者も求める「子どもたちにもう1人保育士を!」 時代遅れの配置基準、見直し訴え会見
奥野斐 (2023年5月18日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
岸田政権がまとめた「異次元の少子化対策」のたたき台は不十分だとして、「子どもたちにもう1人保育士を!」全国保護者実行委員会のメンバーが17日、東京都内で記者会見し、「保育士の配置基準を抜本的に見直し、どの地域でも豊かな保育環境を実現してほしい」と訴えた。
大丈夫?と言う先生の心が大丈夫じゃない
同委員会は、愛知県の保育士らが2021年につくった「子どもたちにもう1人保育士を!実行委員会」に関わる保護者らが、運動の輪を広げようと4月に設立した。今後、保護者アンケートを行い、結果をふまえた要望を政府や行政に届けるという。
政府が3月末に発表したたたき台では、保育士1人がみてよい園児数を1歳児は6人から5人へ、4・5歳児は30人から25人へと減らす改善が明記された。だが、基準自体は改定せず、配置を改善した施設に運営費を増額する「加算」にとどまっており、同委員会などは不十分だと指摘している。
名古屋市の認可保育所元園長の平松知子さんは会見で「加算ではすべての園が適用を受けるわけではない。すべての子どもたちに対する政策なのか」と疑問視。
保育園児をもつ愛知県の川口遥野(はるの)さんは「私たちを支えてくれる先生が毎年、現場から去っていく。『大丈夫?』と声をかけてくれた先生の心が大丈夫じゃない。そういう現状を変えたい」と話した。
政府は基準改定を見送った理由に保育士確保の課題を挙げている。活動を支援する同県の保育士田境(たきょう)敦さんは「保育士が定着しないのは、時代遅れの配置基準が引き起こすゆとりと余裕のない保育が原因」と指摘。改定までの経過措置期間を設けつつ、処遇改善を進めるよう求めた。
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