「認可外保育」の立ち入り調査って何をするの?問題が見つかったらどうなる?
指針と基準は厚労省サイトで見られます
夜間や宿泊を伴う保育をする「ベビーホテル」などの認可外保育施設は、都道府県や政令市などが原則年1回以上、立ち入り調査に入ることになっています。
児童福祉法に基づいて指針で定められていて、厚生労働省が自治体に実施方法などを通知しています。国の基準を満たして設置される認可保育所などは、児童福祉法施行令で行政の実地検査を義務づけていますが、認可外保育施設は法令では定められていません。
立ち入り調査は、国の「認可外保育施設指導監督の指針」と「指導監督基準」(厚生労働省のサイトでPDFを閲覧できます)に沿って、都道府県や政令市などが実施しています。
事前に通知し、複数の職員が訪問します
具体的には自治体が実施計画を立て、通常は施設に事前に連絡して書類などを準備してもらった上で、2人以上の職員で出向きます。施設職員に聞き取りをしながら、設備に不備はないか、保育士が適切に配置されているか、子どもへの接し方はどうかなどを実際に目で見てチェックします。確認項目は、「指導監督基準」で細かく定められています。
保育者の数、資格 | ・常時2人以上配置すること ・おおむね3分の1以上は保育士または看護師の資格があること |
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保育室の設備、面積 | ・おおむね乳幼児1人あたり1.65㎡以上であること ・採光及び換気が確保されていること。安全が確保されていること |
非常災害に対する措置 | ・消火用具、非常口など必要な設備が設けられていること ・具体的な計画を立て、定期的な訓練を実施すること |
保育内容 | ・児童1人1人の心身の発育や発達の状況を把握し、保育内容を工夫すること ・保育所保育指針を理解する機会を設けるなど、保育者の人間性及び専門性の向上に努めること |
健康管理・安全確保 | ・睡眠中の児童の顔色や呼吸の状態をきめ細かく観察すること ・乳児を寝かせる場合には、あおむけに寝かせること |
利用者への情報提供 | ・サービス内容を見やすいところに掲示しなければならない |
備える帳簿 | ・職員及び保育している児童の帳簿を整備しておかなければならない |
「指導監督基準」は、なぜその基準が必要かという点にも触れています。例えば、保育内容では、6カ月未満児は「笑う、泣くという表情の変化や体の動きなどを感性豊かに受け止め、優しく体と言葉で応答するよう努めているか」、6カ月から1歳3カ月未満児は「愛情を込めた応答的関わりにより、情緒の安定と、歩行や言葉の獲得に向けた援助をしているか」など、年齢に応じた具体的なポイントの説明もあります。
問題が見つかったら口頭か文書で指摘。改善は?
立ち入り調査で問題点が見つかった場合、口頭で助言や指導できる軽微なものはその場で伝え、改善してもらいます。保育士の配置や保育室の面積などより重大な問題点は、後日文書で指摘し、おおむね1カ月以内に改善報告を求めます。
どういう方法で指摘するかは「評価基準」に定められています。
例えば、トイレについて、専用の手洗い設備が設けられていない場合は「文書」で、手洗い設備があっても、十分に清掃されていなかったり、せっけんがなかったり不衛生な状態だと、「口頭」での指導になります。
調査結果は公表すべきもの。保育園選びの参考に
国は、調査結果についてもインターネットや自治体の認可外保育施設を担当する窓口で公表することを求めています。東京都ではホームページで過去5年分の結果を掲載しています。項目ごとに問題点があれば「×」、改善されていれば「×→〇」がついています。子どもを預ける施設を選ぶ際、この立ち入り調査の結果はとても参考になります。「認可外保育施設指導監督の指針」に定められていますので、公表していない自治体にもそのことを伝えて、尋ねるといいかもしれません。