保育園のお昼寝布団、保護者が持ち帰るのは当たり前?「荷物が多いと危険」の声も
神奈川県内33市町村アンケート 公立園は18市町で持ち帰り
「保護者が保育園の昼寝用布団を持ち帰るのは当たり前なのでしょうか。荷物が多いときは危険です」。茅ケ崎市内の保護者から、こんな質問が東京新聞に寄せられた。昼寝の際に汗などで汚れがちな布団の管理は保護者か保育園か。神奈川県内33市町村に公立保育園での対応をアンケートしたところ、公立保育園がない5市町村を除く28市町のうち、18市町で保護者が布団を持ち帰っていることが分かった。
週末に持ち帰り、シーツ洗濯や布団干し
保護者が持ち帰ると回答したのは横須賀市、平塚市、鎌倉市、茅ケ崎市など10市と二宮町や箱根町など8町。横須賀市は「週末に持ち帰り、シーツの洗濯や布団干しをお願いしている」と答えた。鎌倉市は市内の5園のうち1園ではコット(布団の代わりに使う昼寝用ベッド)を使用。他の4園で布団を使っており、「保護者による持ち帰りは自由としているが、衛生管理の観点から毎週末の持ち帰りを推奨している」と答えた。
園が管理 | 横浜市、川崎市、相模原市、藤沢市、逗子市、大和市、海老名市、座間市、葉山町、大磯町 |
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保護者が持ち帰る | 横須賀市、平塚市、鎌倉市、小田原市、茅ケ崎市、秦野市、厚木市、伊勢原市、南足柄市、綾瀬市、二宮町、中井町、大井町、松田町、山北町、箱根町、湯河原町、愛川町 |
※鎌倉市と茅ケ崎市はそれぞれ1園でコットを導入。茅ケ崎市は7園のうち6園で0~2歳児分は園で管理、3~5歳児分は保護者が持ち帰り。三浦市、寒川町、開成町、真鶴町、清川村は公立保育園なし
茅ケ崎市は市内の7園のうち6園で、0~2歳児の布団は園で管理しているが、3~5歳児の分は保護者の管理とし、「週に1回程度持ち帰って干すことを推奨している」と答えた。
持ち帰りの負担に関する保護者からの苦情や意見について尋ねたところ、18市町のうち12市町は「苦情や意見なし」と答えた。一方、鎌倉市は「安全衛生面や送迎時の負担からコット導入を求める意見がある」、茅ケ崎市は「特に自転車に子どもを2人乗せて登園する家庭は布団以外にも多くの荷物があり、登降園が大変危険と訴える意見がある」と答えた。湯河原町も「負担であるため園の管理にならないか意見あり」と回答した。
「園で管理」は横浜や川崎など10市町
布団を園で管理していると回答したのは横浜市や川崎市、相模原市など10市町。横浜市は「委託契約により布団の消毒乾燥を年6回程度実施」、川崎市は「おねしょなどで汚れた場合、シーツは保護者、その他は保育園で洗浄」と答えた。
園で管理する理由について、各市町は「持ち帰りは保護者の負担が大きいため」としている。大磯町は昨年度からコットを導入し、保護者からは「布団の持ち帰りがなくなったため負担が減った」と好意的な意見が寄せられているという。
自転車のカゴからはみ出しハラハラ 保護者の要望に茅ケ崎市は「干すスペースが…」
「雨の日は転ばないかと不安です」。茅ケ崎市内の公立保育園に次女(4つ)を通わせている女性(35)は毎週金曜日に昼寝用布団を園から持ち帰り、月曜日に持って行く。通園には自転車を利用。次女を後部席に座らせ、布団は前かごに載せるが、左右にはみ出した状態になる。園での着替えや水筒が入ったかばんもある。昨年までは長女も通園しており、2人分の布団を運んでいた。
片道10分程度の道のりで「朝と夕方は車の通行量も多く、ハラハラしながら通園しています。布団を持ち帰らないで済むようにしてほしい」と実感を込める。
持ち帰りに負担を感じる保護者の声を受け、市内の3つの公立保育園の父母の会は布団を市が管理するよう求め、昨年から交渉を続けている。市内の公立園では0~2歳の乳児の布団を園で干しており、現在保護者が持ち帰っている3~5歳の幼児の分も園で干すよう要望している。市は「幼児は人数が多いため干すスペースや作業量的に難しい」としている。
昨年まで「小和田保育園父母の会」会長を務めた太田咲和子さん(41)は「干す作業が負担であれば、まずはボランティアを募集するなど工夫できるはず。子どもの安全にも関わるので互いに知恵を出して解決したい」と話す。