いま増えているRS、溶連菌、ヘルパンギーナ… 証明されたマスクの効果〈森戸やすみのメディカル・トーク〉

(2023年7月4日付 東京新聞朝刊)
イラスト 子どもを診察する医師

イラスト・永須華枝

この3年間の予防対策が効果的だった

 今、小児科外来はとても混んでおり、RS、溶連菌、ヒトメタニューモ、アデノ、インフルエンザ、新型コロナの検査が陽性になる子がいます。ヘルパンギーナや手足口病、突発性発疹症の子もいます。

 要するに1つの感染症が猛威を振るっているのではなく、いろいろな感染症が一度に増えました。風邪もウイルスの感染症ですから、もちろん風邪の子も多いです。中には重症になり入院が必要になる子もいます。小児病床もどこもいっぱいです。

 これは私たちが3年間行ってきた予防対策が効果的だった証拠です。これらの感染症はほぼ全て飛沫(ひまつ)と接触で感染します。人と人の距離が近くなり、以前ほど手を洗わなくなり、マスクを外し、ワクチンで予防できないなら、感染者数はコロナ禍前に戻ります。

 マスクが免疫を下げたと言う人がいますが、科学的根拠を基に主張している人はいません。子どもはマスクをせずに風邪をひかせるべきだったでしょうか? 前述の感染症はみんな、幼い時に感染するほど重症化したり、脳症などの合併症を起こすリスクが上がったりします。どんな感染症も感染しないに越したことはないし、感染するなら、体が大きく、より成熟してからの方がいいでしょう。

 三密を避ける、手を洗う、マスクを着けるというのがどんな感染症に対しても基本です。

森戸やすみ(もりと・やすみ)

 小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)勤務などを経験。「子育てはだいたいで大丈夫」(内外出版社)、共著に「やさしい予防接種BOOK」(同)など、医療と育児をつなぐ著書多数。「祖父母手帳」(日本文芸社)も監修。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝えます。

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