コロナの重症化は、子どもでもあります〈森戸やすみのメディカル・トーク〉

(2023年5月23日付 東京新聞朝刊)
イラスト マスクをつけた子どもとつけていない子ども

イラスト・浅野裕作

マスクが自由に 子どもの流行は?

 マスク着用が個人の判断に委ねられました。日本人はコロナ禍前から「風邪を他人にうつしてはいけない」という気遣いや、人前で顔を出したくないというシャイな性格から、マスクを積極的に着ける人がいました。同調圧力があるという人もいますが、それだけではないでしょう。

 多くの親御さんの懸念は、子どもたちに新型コロナウイルスが大流行するのではということ。一部の街では、以前よりもさらに外国人観光客が増えました。大型連休中に旅行をした人もたくさんいましたね。人流が再開すると第9波が心配です。しかし、子どもに関してはあまり変わらないのではないかというのが私の予想です。

7波・8波の主な感染経路は、親から

 第7、8波は私の小児科クリニックでも、陽性者がたくさん出ました。多くの機関が分析する通り、子どもの主な感染経路は家庭で親からでした。これは園や学校でマスクを取るようになっても変わらないでしょう。

 2022年1~9月の集計では20歳未満の死亡者のうち、基礎疾患のない子は29人でした。「子どもは重症化しない、死なない」という認識で止まっている人は、知識をアップデートしてください。何回もかかるのがこの感染症です。ワクチンは義務ではなく、むしろ「税金で無料で受ける権利がある」と考えてお子さんを守ってほしいと思います。

森戸やすみ(もりと・やすみ)

 小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)勤務などを経験。「子育てはだいたいで大丈夫」(内外出版社)、共著に「やさしい予防接種BOOK」(同)など、医療と育児をつなぐ著書多数。「祖父母手帳」(日本文芸社)も監修。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝えます。

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