待機児童が過去最少2680人に しかし「隠れ待機児童」は約5000人増の6万6168人、認可に入れず育休中の人も
こども家庭庁は1日、希望する認可保育所などに入れなかった待機児童が今年4月1日時点で、昨年より264人少ない2680人だったと発表した。5年連続で最少を更新、近年ではピークだった2017年の約10分の1に減った。こども家庭庁は保育の受け皿の拡大や、就学前人口の減少などを要因とみている。一方、女性就業率の上昇や新型コロナウイルス禍で目立った利用控えの解消などから「保育ニーズは引き続き注視が必要」としている。
所沢市で53人、座間市は50人
保育施設の定員は昨年4月より約3000人増にとどまったが、申込者数が約8000人減った。全国の約86.7%にあたる約1500区市町村で待機児童ゼロを達成。待機児童50人以上の自治体は6市に減った。0歳児の申し込みが減った一方で1・2歳児は増え、待機児童の85.1%を占めた。
待機児童数が多い上位10自治体には、首都圏で埼玉県所沢市(53人)、神奈川県座間市(50人)、千葉県八千代市(45人)が入った。こども家庭庁によると、自治体の中の特定の地域で申し込みが集中するなどの需要の偏りや、保育士が確保できず定員を減らしたことなどが主な要因という。ただ八千代市は、東京都町田市、国分寺市、神奈川県鎌倉市とともに、過去5年間で待機児童減少率が目立つ自治体にも挙がった。
「ニーズに即していない集計」
待機児童は過去最少になったが、申込時に特定の園のみを希望しているなどで国の集計にはカウントされない「隠れ待機児童」は昨年より5000人弱増え、計6万6168人。中でも申し込みをしたものの認可保育所などに入れず、育児休業中の人の増加が目立つ。
「保育園を考える親の会」(東京都豊島区)の普光院亜紀さんは「育休延長制度や職場の理解が進んだ影響で、保育施設に子どもを預けずに、育休を長く取りたい人は増えている」とみる。ただ「この待機児童の集計方法は本来的ではない。認可を希望しているのに近くの認可外が空いていたら特定園希望として数から除外するなど、ニーズがとらえられないやり方になっている」と指摘した。