埼玉の「留守番禁止」条例案に欠けていたのは「こども基本法」の理念 反対署名の発起人がこども家庭庁に要望書
飯塚大輝 (2023年10月12日付 東京新聞朝刊)
子どもや子育て当事者の意見聴取を
自民党埼玉県議団が県議会に提出し、その後撤回した埼玉県虐待禁止条例改正案について、オンラインで9万筆超の反対署名を集めた東松山市の野沢湖子(ここ)さんらが11日、こども家庭庁を訪れ、子どもや子育て当事者の意見聴取を定めた「こども基本法」を各自治体と議会に周知徹底するよう要望書を担当者に手渡した。改正案は小学3年生以下の子どもだけで外出・留守番させることを放置で虐待だとして禁止する内容で、10日に取り下げられた。
社会全体で子どもを守る環境整備を
要望書は、こども基本法の理念が「県議会で実現されていればこのような事態は起きなかった」とし、子育て当事者の意見を尊重し、社会全体で子どもを守る環境整備を求めている。
要望後、「みらい子育て全国ネットワーク」の天野妙さん、日本大の末冨芳教授と東京都内で会見を開いた野沢さんは、改正案取り下げについて「現実世界を生きている私たちと、議会の中で生きる議員との乖離(かいり)がある。県民の声を反映するのが議会。こうなったのは大変残念な気分だ」とした。今回の経験から「どんな議員がどんな議案を議論しているか市民がしっかりと見ないといけないと学んだ。私たちも反省しないといけない」と話した。
自民会見の「誤解でした」を批判
条例案撤回について説明した10日の自民の会見については「誤解があるという言い方で全て終わらせてしまったのが大変残念。これだけの反発が出ているのに、誤解でしたでは説明になっていない」と批判した。
小学生の子どもを育てる野沢さん。埼玉県内では待機児童が多く、子どもが安心して過ごせる場所が少ないとし、「まずは子どもが安心安全、自由に過ごせる場所づくりを広めるべきだ」と訴えた。
コメント