「留守番禁止」条例案の正式撤回で埼玉県知事がキッパリ「新条例のニーズはない」 虐待対応は現行法で対応可能
飯塚大輝 (2023年10月14日付 東京新聞朝刊)
埼玉県虐待禁止条例の改正案が13日、県議会の本会議で正式に撤回された。子どもだけの外出や留守番を放置による虐待とする内容が批判を浴び、提案した自民党県議団が10日に撤回の方針を表明していた。
13日の県議会本会議で正式撤回
この日は、自民が本会議に先立つ議会運営委員会で「県民から多くの意見があった。(改正案の)趣旨が十分理解され広く受け入れられることが大事」と撤回理由を説明。本会議での報告を経て承認された。本会議では、改正案に反対する市民らが傍聴席からやじを飛ばし、議長に注意される場面もあった。
改正案は6日の福祉保健医療委員会で自民、公明が賛成し可決。13日の本会議で成立するとみられていた。
改正案は、小学3年生以下の子どもを家などに放置することを禁じ、小学4~6年生は努力義務と規定。SNSなどで「子育ての現実と乖離がある」「禁止事項を守ったら生活が壊される」などと反発が広がった。オンラインの反対署名には10万筆超が集まり、自民の国会議員からも批判の声が上がる事態となっていた。
[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年10月14日]
大野知事「県民の不安払拭、よかった」
埼玉県虐待禁止条例の改正案正式撤回を受け、大野元裕知事は13日、報道陣の取材に応じ「県民の不安が払拭されてよかった」と改めて歓迎した。
留守番と待機児童問題は「関係ない」
大野知事は「待機児童の解消に取り組まないといけない」とした上で「子どもを置いてのごみ出しや子どもだけでの登下校(の禁止)と待機児童は全く関係がない」と指摘。「『(待機児童の解消など)環境整備が整えば、今回のような条例制定の呼び水になる』ということにはならない」と主張した。
また、虐待への対応は児童虐待防止法で可能だとして「(新たに)県として、条例を提案するというニーズは持っていない」と話した。
埼玉県議会事務局によると、議員提案の条例案が委員会可決後に撤回されるのは初めて。撤回が報告された同日の議会運営委員会には19人、本会議には64人が傍聴に訪れた。
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