埼玉の「留守番禁止」条例案を自民が撤回 他会派の反応は? 賛成した公明「子育て当事者に申し訳ない」

飯塚大輝 (2023年10月12日付 東京新聞朝刊)
 自民党県議団が開会中の9月定例会に提出し、10日に取り下げられた県虐待禁止条例の改正案について、県議会の他会派は11日までに、取り下げに対する受け止めを表明した。委員会審議で賛成した公明党県議団は「考えを改めた」と釈明した。

図解 埼玉県の自民党県議団が提出した虐待禁止条例改正案で、何が「虐待」とされるのか?

「現実的でない」認識しながら賛成

 公明は、蒲生徳明団長が声明を発表し、取り下げを「賢明な判断」と評価した。

 6日の福祉保健医療委員会では「現実的ではない部分がある」と認識しながら、置き去り防止の意識啓発と行政側に子育て環境の整備を求める内容であったため、改正案に「一旦は賛成した」と説明。その後、厳しい指摘や意見が数多く寄せられ、「『条例を通した後の見直しを待っているようでは子育ての当事者に申し訳ない』との反省に立ち、考えを改めた」とした。

民主フォーラム「県民の力で阻止」

 委員会で継続審議を求め、改正案に反対した民主フォーラムの田並尚明代表は、「県民の力で成立を阻止できて良かった」とコメント。条例は県民を縛るもので、多様な意見を聞き慎重に議論すべきとして「自民党県議団の中でしっかり(議論が)なされたと思えない」と非難した。

 委員会で修正案を出した県民会議の井上航代表は取材に「修正案では自民が取り下げの記者会見で強調した『安全配慮義務』を明示したが、自民は質問してこなかった。他会派の声を聞く必要性が証明された」と強調。県民に反対の声が広がったことに「本当に県民が政治に向き合えば、これだけのことが起きると改めて実感した」と話した。

共産「審議はわずか1週間で拙速」

 参考人招致や公聴会実施を求め、改正案に反対した共産党県議団の城下師子団長と同党県委員会の荻原初男委員長は、取り下げは「県民・国民の運動の巨大な成果だ」との声明を発表。改正案は「養護者に過度な負担を強いる異常なもの」「県民的議論、会派間の審議はわずか1週間で拙速」と批判。条例提案時に「県民の声に耳を傾け、会派間で議論できる取り組み」をするよう求めた。

 議会事務局によると、自民党県議団は11日、改正案の撤回請求書を提出した。

 改正案は小学3年生以下の子どものみで外出・留守番させることなどが虐待に当たるとして禁じる内容。今月6日の委員会で可決されたが、県民からの大きな反発を受け、本会議での採決を待たずに撤回に追い込まれた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年10月12日

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  • 暇人 says:

    家のことは一切を優しい奥様に任せて、自分は選挙資金の捻出に奔走してきたお年寄りの議員が多いからこんなことになるのかな?それはともかく、「声を上げれば変わるかもしれない」ことを私たちは学んだ。世の中を変えるのは議員ではなく、我々一般庶民であることを改めて自覚したい。

    暇人

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