4歳息子が突然の登園しぶり 理由も解決策も予想外なものでした…
小学校に入学したら、しっかり者だと思っていた娘が突然「学校に行きたくない」と言い出して…。
教室に付き添った苦労だけでなく、学校が直面している課題も伝わってくる漫画家・滝沢友紀さんのインタビュー記事「小1の娘が『学校行きしぶり』に… 教室に付き添う日々で見えたこと」(記事はこちらです)。これを読んで、わが息子のエピソードを思い出しました。
といっても小学校ではなく、まだ4歳のころ、初夏のある朝。入園から2カ月ほどで「登園しぶり」もなく、毎日楽しく過ごしているものとばかり思っていました。
いつものように自転車に乗せて園に到着。手をつないで駐輪場から門に向かう途中、ピタリと足が止まりました。「どうしたの? 行こうよ」。手を引いても、下を向き、踏ん張って動こうとしません。
すると、地面を見つめたままの目から、ほろりと涙がこぼれたのです。
「どどどど、どうしたの?」。突然の登園拒否。事態がつかめずパニックの私は同じ言葉を繰り返すだけ。息子は何を話すでもなく、しゃくり上げながらさめざめと泣くばかり。
ぐずる子がいるのは見慣れた光景なので、他の保護者のみなさんは「お~やってますねぇ~」って顔で振り返りながらどんどん追い越していきます。徐々に募る焦り。このまま登園できなかったらどうしよう。出勤しなきゃいけないのに…。
5分ほどたち、追い越す親子はもういません。取り残されたわれわれ2人。ひとまず園と会社それぞれに、こんなわけで遅刻しそうですと電話。時間と心の余裕を確保してから、泣き続ける息子に尋ねました。
「今日は行きたくないんだね。これからどうしようか」
「……」
「おうち帰る? どこか行く?」
「…お、おにぎりが、た、たべたい…」
おにぎり!? 予想外すぎる息子の返しに驚きつつも「おにぎりね。じゃあ、あそこにオリジン弁当があるから買いに行こう!」と、手をつないで回れ右。門に背を向けて一歩を踏み出す。よかった、何とか歩いている。
イートインのない店舗なので、買ってすぐ店の前で食べることに。半泣きの状態で、立ったままかぶりつきます。朝ごはんはしっかり食べたのに、あのオリジンの大きなおにぎりをペロリと完食。いつの間にか涙は止まったようです。表情は曇っているけど、今なら話もできそうだ。
「ねえ、何か園でいやなことがあったの?」
しばしの沈黙。うつむいたままの息子がつぶやきました。
「…泥んこ遊び、したくない」
なんと。確かにその日は、クラスのみんなで泥んこ遊びをする日。赤土の中庭に水をたっぷりまいて、水泳かってくらい全身泥まみれになって遊ぶ、園としては自慢の、お楽しみプログラム的な位置づけでした。
既に何度か体験していたし、子どもたちはみんなワーキャーいって楽しんでるのだろうな、と思っていました。子どもって泥んこ遊びが大好きだもんな、と思っていました。けど、そうじゃなかったんだ。衝撃。
「泥んこ遊びがイヤなんだ。そうだったんだね。じゃあ泥んこ遊びはしないでいいかって先生に聞いてみるね」
「……(うなずく)」
かくかくしかじかでと電話で伝えると、先生は「もちろん大丈夫ですよ。他にも参加しない子がいるので、一緒に遊べますからね」。先生の言葉を伝えると息子はほっとした様子で、不安げな足取りながら、今度は無事に門をくぐることができました。
その日の夜。「泥んこ遊びの時間、何して遊んだの?」と聞くと「〇〇ちゃんといっしょにダンゴムシさがして、100ぴきみつけた!」。すっかりいつものお調子者ボーイに戻っていたのでホッとしました。泥んこ遊びの何がイヤなの?「服の中に入ってヌルヌルして気持ち悪い」「汚れるのがイヤ」。確かにその通りだね…。
しみじみ思いました。子どもの本心って、親でもなかなかわからないものだな。「子どもって〇〇だから」という先入観にとらわれてはいけないな。
それにしてもどうして、おにぎりだったんだろう。小学生になった息子に聞いても「ああ、あのときね。わかんない」。おにぎりの謎は謎のままです。でも、いまもオリジン弁当の前を通るたび、あのとき助けてくれてありがとう、と心の中でつぶやいています。
コメント