保育園の遊具ロープが首に巻き付き一時重体 職員会議で「危険なのでやめる」…なのに保育士に伝わっていなかった

菅原洋 (2024年1月19日付 東京新聞朝刊に一部加筆)

久喜市の検証委員会が報告

 埼玉県久喜市の私立「なずなの森保育園」で昨年5月、男児の首に遊具のロープが巻き付いて一時意識不明の重体となった事故で、久喜市が設けた有識者による検証委員会が18日、報告書を梅田修一市長に提出した。事故前に職員会議でロープを使って遊ばせないよう注意喚起があったが、現場の保育士に周知されていなかった事実が判明した。

事故が起きた当時の遊具=昨年5月撮影、久喜市で

議事録に残らず 園児だけの16分間で…

 遊具は園庭の築山(高さ数メートル)にあり、山上の柵からロープをつないで斜面に垂らす構造。報告書などによると、事故の1~2年前、職員会議で築山でのロープ遊びは危険なためにやめさせる話が出たと複数の職員が証言したが、園の議事録には残っておらず、事故当日現場にいた保育士2人は知らなかった。

 昨年5月2日の事故直前、保育士の1人が築山の下で園児たちが引っ張り合う姿を見てロープを取り上げたが、撤去せずに柵につなぎ、別の保育士も含めて適宜現場を離れた。その後約16分間にわたり現場は園児だけとなり、事故が発生。ロープが築山に持ち込まれた経緯も分からなかった。

注意喚起を周知する仕組みがなかった

 報告書提出後に市役所で記者会見した検証委の委員長で、東京家政大の増田まゆみ元教授(保育学)は「職員会議はとても重要で、注意喚起を周知する組織的な仕組みがなかった。ロープの管理ができていなかった点も、組織としてあってはならないことだ」と厳しく指摘した。

 事故を巡っては、埼玉県警が今月初め、注意義務を怠り男児にけがを負わせたとして、業務上過失傷害の疑いで、園長や保育士らを書類送検。男児は意識を回復して退院したが、通院中という。なずなの森保育園は「常に反省を忘れないようにしたい。被害者への賠償は誠実にできる限り対応したい」とコメントした。

久喜市の保育園の遊具ロープ事故

 2023年5月2日午前10時半ごろ、久喜市の社会福祉法人が運営する私立「なずなの森保育園」から、「園児の首に遊具のロープが巻き付いて意識がない」と119番があった。園庭で遊んでいた男児(3)が救急搬送され、呼吸と脈は確認されたが意識不明の重体となった。遊具は高さ数メートルの人工的な土の山の上に木製の柵や台があり、その一部に長さ数メートルのロープをつないで緩やかな斜面に垂らした構造。園児たちはロープを手に登るなどして遊んでいたとみられる。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2024年1月19日