3歳ならそろそろトイレで…「まだ『ばぶちゃん』だもん。ばぶ~」〈加瀬健太郎 お父ちゃんやってます!〉
この春、早いもので三男は小学校に入学した。毎朝、迷惑そうにする次男のあとを、大きなランドセルを背負って、うれしそうについていく三男。学校から帰ってきては、新しいノートに自分の名前を何度も満足げに書いていた。
習いたてほやほやのひらがなは、ふにゃふにゃしていて、すごくかわいい。「上手やな。天才やな」と、褒めて伸ばす式教育法にのっとり、大げさに褒める。
すると、寝室の壁に書かれた三男の名前を発見。他にも、トイレ、出窓のところ、玄関と、気がつくと、家のいたるところに三男の名前が書き込まれていた。まだ「ん」が難しいみたいだ。
四男の幼稚園もはじまった。幼稚園バスに乗れるのがうれしいらしく、嫌がらずに通ってくれているので、ほっとしている。「もう幼稚園に行ってるんやから、そろそろトイレでうんちしよっか?」と、四男のオムツを替えながら聞くと、「まだ3ちゃいだから、『ばぶちゃん』だもん」と、四男いつになく赤ちゃん言葉を使う。
「3さいは、もう『ばぶちゃん』じゃないよね?」と言うと、「だってちゃ、パパだいちゅき。ばぶ~」と、汚れたお尻をこっちに突き出し、小悪魔的に笑った。複雑な思いにもなるが、もう少しの間、「ばぶちゃん」ということにしておきたい。
長男が、バスケ部の試合でアキレス腱を痛め、ギプスに松葉づえで帰ってきた。弟たちが松葉づえを使いたくて群がってきたのを制した長男は、「ひとり100円で使っていいよ」と商売をはじめた。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)
写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。13歳、11歳、7歳、3歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。