〈大滝麻未さんの子育て日記〉7・トリリンガル子育て、3歳の長男は日本語で話したい!
英語で話しかけても「違う!」
長男の柚生(ゆずき)が先日3歳の誕生日を迎えました! 1カ月ほど前から誰かに会うたび「柚生もうすぐ3歳なんだよ!」とうれしそうにして、誕生日当日にはNONNO(イタリア語でおじいちゃん)もイギリスからはるばるお祝いに来てくれました。言葉数が増えてきた最近は、英語で話すと「日本語がいい!」と、使いたい言語へのこだわりが見られるようになりました。
わが家では、私は日本語で、夫はイタリア語で、全員の時は英語でコミュニケーションを取っています。英語を一番大切にしたいので、動物の名前や数字などを英語で教えていましたが、生後11カ月で保育園に通い出してからは日本語に触れる機会が圧倒的に増え、どんどん日本語にアップデートされていきました。英語で言うと「違う!」と怒るので、きっと保育園で「それは違うよ」とお友達が教えてくれているのだろうな、と想像すると少し胸が痛くなりました。
3歳になった今ではそれぞれの言語の区別がつき、間違いではないと理解した上で、日本語で話してほしいと要求することが増えました。とにかく英語やイタリア語を嫌いになってほしくないので、最近は日本語と英語モードがあるタッチペンで言葉を学ぶ絵本からヒントを得て、遊び感覚で言語を切り替えられるよう工夫しています。
名付けて「モードゲーム」! 例えば英語で話したい時は「ENGLISH MODE!」と言いながら頭のボタンを押します。「今日の朝ご飯は何を食べましたか?」などと質問し、答えが出てこない時はゆっくり話して何度も復唱させながら会話を広げていきます。
海外ルーツの子の大変さを実感
私自身が20歳で「英語は得意!」と自信を持って挑んだカナダ留学で、思うようにコミュニケーションが取れず苦い経験をしました。大人になってから習得するのは大変。ハーフや帰国生の友達をうらやましく思っていましたが、バイリンガルになるのは簡単ではなく、子どもなりに大変な思いをすることもあるんだなと考えさせられます。
夫の幼い頃、イタリア人のお父さんはどちらも中途半端になることを心配してイタリア語を全く話さなかったそうです。大人になってイタリア語を身に付けた経験から、少し大変な時期があっても幼いうちからトリリンガルで育てた方が将来的に子どものためになるといいます。
柚生やこれから話し始める奏音(かなと)の気持ちに寄り添いながら、言語を通じて将来自分たちの世界を広げていけるよう、親として最大限のサポートをしていきたいです。
大滝麻未(おおたき・あみ)
1989年、神奈川県生まれ。女子サッカー元日本代表。夫は英国とイタリアのハーフ。0歳と3歳の兄弟を日英伊の3カ国語で育児中。