女優 桜庭ななみさん 保育士の母は、女性としても母としても憧れの存在です
やると決めたら曲げない性格は母譲り
母は一家の主導権を握る存在です。私は15歳の時に地元の鹿児島でスカウトされ、一人で上京することになりました。母は最初は大反対でした。でも、事務所の人が何度も足を運んで母を説得してくれ、私も頑固な性格でやると決めたら曲げないので、最後は母が折れて認めてくれました。私の芯(しん)の強さは母譲りだと思います。今では、母は私が出演する作品は全部見てくれていますし、一番応援してくれています。
母は保育士で、仕事をすごく楽しんでいます。私は今、仕事をこなすだけで精いっぱいですが、姉と私、弟の3人を育てながら働き続けてきた母はすごい。女性としても母としても、憧れの存在です。
母がいないと子どもに電話してくる父
会社員の父は母が大好き。仕事で母の方が帰りが遅いときなどに、さみしくなるようで、私や姉、弟たちに電話してきます。父から電話がきた時は、「お母さんは家にいないんだなぁ」と思います。
私がNHKの連続テレビ小説「スカーレット」に出ていた時は、「友達がドラマを見たって言ってたよ」などと報告してくれました。口下手で、「自分が見た」とは言わない。でも、母に聞くと、朝は会社への出勤時刻と重なるから、録画して見てくれていたそうです。人見知りなところもあるのですが、私もそうなので、性格は父にすごく似ていると感じます。
毎年、実家でツバメが巣を作って卵を産むのですが、卵が落ちてしまったり、ヘビに食べられてしまったりするんです。父はヘビが柱を上れないように柱に針金を巻くなどして、卵を守ろうと試行錯誤していました。そのかいあって今年はヒナがかえったそうです。そういう優しいところもありますね。
帰省できず…オンライン誕生日会も
姉は友達のような存在。私が地元を離れてから数年後に就職で上京し、一緒に住んでいた時期もありました。いやなことがあった時や、仕事の悩みを聞いてほしい時など、いつも電話で話しています。
新型コロナウイルスの影響で、実家にはお正月以来、帰れていません。みんなに会えないのは寂しいですが、家族のLINEグループでやりとりしたり、テレビ電話をしたりして連絡を取り合っています。先日はオンラインで弟の誕生日もお祝いしました。やはり家族の顔を見て話すと、安心します。
離れているからこそ、余計に何でも話せる家族のありがたみを感じます。つながりはコロナの前よりも深まったかもしれません。どんな時も私の味方でいてくれる存在。私も家族の味方でいたいと思っています。
桜庭ななみ(さくらば・ななみ)
1992年、鹿児島県生まれ。映画「最後の忠臣蔵」(2010年)でブルーリボン賞新人賞、日本アカデミー賞新人俳優賞など受賞多数。NHK連続テレビ小説「スカーレット」(2019~2020年)などに出演。東海テレビ・フジテレビ系で放送中の、誘拐事件を舞台にしたサスペンスドラマ「13(サーティーン)」でヒロインを演じている。