俳優 新井美羽さん 家族には全部話します 父からは共感、母からは解決策をもらって

川合道子 (2024年6月9日付 東京新聞朝刊)

新井美羽さん(七森祐也撮影)

月1のおでかけ みんなが車内で熱唱

 私と妹、両親の4人家族。5年ぐらい前に飼い始めた愛犬のティーカッププードルもいます。妹の琉月(るな)も同じ仕事をしているので、家族全員が休みでそろうのは月に1日ぐらい。そんな日は、ショッピングモールをぶらぶら歩いて買い物を楽しんだり、ドライブに出かけたり。車の中で音楽をかけると、自然とみんなで熱唱し、盛り上がってしまうような家族です。

 私はその日あったことをため込まず、家族に全部話してしまいたいタイプ。共感してほしいことは、父に聞いてもらうことが多いです。長男、長女同士、性格が似ていることもあるかもしれません。父は私の話をちゃんと聞きながら、「それ、分かる分かる」と同調してくれます。

 何か解決したいことがあると、母に相談します。例えば、翌日に泣くシーンの撮影があるときは感情の準備が大変で、「うまくできるかな」と不安になってしまうことがあります。先日も地方での撮影で、滞在先のホテルから母に電話をしました。そのときは「仕事なんだからちゃんとしないと駄目」と厳しく言われたのですが、切った後で「本当はすごい心配してるけど頑張ってほしい」というようなメッセージを送ってくれて。いつも強気な母が優しい言葉をかけてくれることは少ないので、そんなメッセージをもらうと安心感が増します。翌日の撮影は、自信を持って演じることができました。

大泉洋さん、菅野美穂さんに助けられ

 今月14日から公開が始まる映画「ディア・ファミリー」は、町工場を営む父親が、心臓病で「余命10年」と宣告された次女のために、人工心臓の開発に挑むという実話を基にしたストーリー。私は三姉妹の末っ子を演じています。

 撮影中、お弁当の時間には「ちゃんとご飯食べてる?」と父親役の大泉洋さんに気にかけてもらったり、深刻なシーンの撮影で感情のコントロールができないときは、母親役の菅野美穂さんが「大丈夫だよ」とひたすら慰めてくださったり、映画の“家族”にもたくさん助けられました。

 この役を演じる中で、娘のために行動する両親がいることや、苦しい時も支え合える家族がいることは、すごく尊くて、幸せなことだと感じました。ぜひ大切な人と見てもらえたらうれしいです。

 私の実際の両親は、この映画の両親とは違いますが、子どもの気持ちに共感してくれたり、悩んだときに一緒に悩んでくれたりと、ありがたい存在です。5月の「母の日」には、妹と一緒に新しいアイシャドーをプレゼントしました。今月の「父の日」は、何にしようか考え中。将来のことは分かりませんが、どんなに忙しくても家に帰ればホッとできる、そんな家族をつくることができたらいいなと思っています。

新井美羽(あらい・みう)

 2006年、東京都生まれ。ベビーモデルを経て、2歳から芸能事務所入りして活動を開始。2017年に放送のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」で主人公・井伊直虎の幼少期、同年の連続テレビ小説「わろてんか」でもヒロインの幼少期を演じた。6月14日に公開予定の映画「ディア・ファミリー」では、小さな町工場を経営する坪井家の三女・寿美役を演じる。