四谷大塚の盗撮事件を受け、大手塾が性犯罪防止へ対策 スマホ持ち込み禁止、教室に防犯カメラ…
元講師を再逮捕 強制わいせつなどの疑い
塾で教え子の女子児童の両足を持ち上げて下着を盗撮したとして、警視庁少年育成課は11日、強制わいせつと東京都迷惑防止条例違反の疑いで、中学受験塾大手「四谷大塚」(本部・中野区)元講師の森崇翔容疑者(24)=日野市落川=を再逮捕したと発表した。
女児の両足を持ち上げ…スマホで盗撮
森容疑者は同じ女児(9)を盗撮したなどとして、8月19日に強要容疑などで逮捕された。再逮捕容疑では5月上旬、都内の塾の教室で、座らせていた女児の両足を持ち上げて下着が見える姿にさせ、胸ポケット内のスマートフォンで盗撮。6月上旬にも教室で下着を盗撮したとされる。「女児は私の好みだった」と容疑を認める供述をしているという。
少年育成課によると、森容疑者は宿題の進み具合の確認や個別面接を理由にして、女児と2人きりになる状況を利用していた。押収したスマホやパソコンから、塾に通う小学2~6年の十数人の女児を盗撮していたことも判明。森容疑者は盗撮画像や動画を女児たちの氏名や住所とともに、SNSのグループチャットに投稿していたという。
防犯カメラをリアルタイムで見られる
四谷大塚元講師の事件を受け、大手学習塾は性犯罪を防ぐ対策を相次いで打ち出している。識者は「子どもが被害に遭ったらすぐに相談できるよう、保護者は家庭でしっかり性教育をしてほしい」と求めている。
「二度とこのような事態を起こさぬよう、全社を挙げて再発防止策を実行していく」。森崇翔容疑者の再逮捕を受け、四谷大塚は11日、東京新聞の取材に対し、メールで強い決意を示した。
再発防止策では、講師らがスマホを教室に持ち込むことを禁じ、11月ごろまでに全校舎の全教室に防犯カメラを設置して、保護者がリアルタイムで映像を見られるようにする。
担当者は、カメラでの監視について「講師が自由に授業できない」というデメリットがあるとしつつ、「再発防止、生徒の安全安心を最優先に考えれば、やむを得ない」としている。
早稲アカ、サピックス、個別学習塾も
事件発覚後、「早稲田アカデミー」(本社・東京)は全校舎の全教室に防犯カメラの設置を決めた。
大半の教室に既に防犯カメラを設置している「サピックス小学部」(同)はスマホ持ち込み禁止を徹底。個別学習塾の「東京個別指導学院」(同)は、講師と生徒が2人きりになったり塾外で会ったりしないよう改めて周知し、教室内の見回りを強化した。
日本版DBS 義務化は見送られても…
子どもと接する仕事に就く際に性犯罪歴がないことを確認する「日本版DBS」の創設を巡り、こども家庭庁の有識者会議が5日に示した報告書案では、学習塾は確認の義務化が見送られた。制度の利用は任意とされているが、多くの大手学習塾が取材に、利用に前向きな姿勢を示している。
子どもの性犯罪対策に詳しい奈良大の今井由樹子准教授(犯罪心理学)は、塾の対策強化を評価しつつ「塾は教室内に防犯ブザーを置くなど、さらなる対策を模索してほしい」と注文。「性被害に遭った際に子どもがすぐに助けを求められるよう、水着で隠れる部分などの『プライベートゾーン』の大切さを親子で一緒に学んでほしい」と話した。