日本版DBSの性犯罪歴チェック 学習塾や学童は義務化せず任意、条例違反は除外 実効性は担保できるのか
有識者会議の報告書のポイント
- 学校や保育所などに照会を義務化。学習塾やスポーツクラブなど幅広い業種を対象に、自主的に照会した事業者を認定・公表する制度を設ける
- 「性犯罪歴」は有罪判決を受けた前科に限り、起訴猶予や行政処分は除外。条例違反は対象外とする
- 照会を怠った事業者には何らかのペナルティーを科す。情報漏えいの禁止・罰則規定を設ける
- 「職業選択の自由」の観点から性犯罪歴者の採用可否は事業者判断とし、子どもの安全確保を求める
四谷大塚で事件 署名も提出されたが…
子どもの性被害事案は、加害者が教諭や保育士にとどまらず、ベビーシッターや塾講師など関わりのある業種は多岐にわたります。8月には教え子の小学女児の下着を盗撮したなどとして、大手中学受験塾「四谷大塚」(本部・東京都)の元講師が逮捕される事件も起きたばかり。子どもに関わるあらゆる仕事を義務化の対象とするよう望む声は多く、今月1日には8万筆超の署名が小倉将信こども政策担当相に提出されました。
しかし、学習塾やスポーツクラブといった許認可を必要としない民間事業者を規制するような法律はなく、役所が監督する仕組みはありません。性犯罪歴情報の適切な取り扱いも難しいとして義務化を見送りました。
小倉大臣は「実質的に義務化」と強調
小倉氏は記者会見で、義務化から外れる学習塾などについて「実質的に義務化と同程度の状況にすることが考えられる」と強調。認定制を積極的に活用してもらうことで、義務化に近い効果が期待できると説明しました。
課題となるのは認定制の実効性を担保できるかです。どの学習塾やスポーツクラブが従業員の性犯罪歴を確認し、子どもの安全確保に取り組んでいるかを公表することによって、幅広い利用を促す方針ですが、中小の事業者までなかなか普及しない恐れもあります。
照会対象は「有罪判決の前科のみ」に
照会の対象となる性犯罪歴は、有罪判決を受けた前科のみとしました。
有識者からは示談成立による不起訴処分や行政上の懲戒処分、民間企業の解雇処分も対象にすべきだとの意見もありましたが、憲法22条の「職業選択の自由」の観点から慎重論があり、見送られました。
また、都道府県の条例が規定する性犯罪は、対象に含めることが望ましいとしたものの、罪となる行為にばらつきがあることなどから今回は除外されました。
性犯罪歴あっても、採用は事業者判断
性犯罪歴が確認できた場合でも、採用するかどうかは事業者の判断に委ねられます。採用する場合は子どもと関わりのない業務に回すなど、子どもの安全確保を図るよう求めました。
政府は報告書を踏まえ、秋に見込まれる臨時国会に関連法案を提出する方針です。まずは導入を急ぐ「スモールスタート」(政府関係者)で、積み残した課題を引き続き検討していくことが不可欠となります。
日本版DBSとは
子どもを性犯罪から守るため、子どもと接する職業に就く人に性犯罪歴がないことを確認する仕組み。英国の制度「DBS」(ディスクロージャー・アンド・バーリング・サービス、前歴開示および前歴者就業制限機構の略)を参考に創設を求める声が高まっていたことから、こども家庭庁が導入に向けた議論を加速させました。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい
保護者や子供が、この大人は犯罪歴がないのかどうか確かめたい時に、照会できるのだろうか。被害に遭う側が確認できなければ意味が無いなと思う。
塾だろうが習い事だろうが、確認したい人が確認できてこそ実用的であると思う。経営者責任者側が子どもの被害に対して意識の低い人であった場合、取り入れられない事になるなら、無いのと同じではないか。
認識間違いがあったらごめんなさい。
甘いな。被害者の声を聴いてみると良い。制度の根幹は実際に酷い目に遭った人に合わせるべき。再犯率の高さを考えても生温い。一番の問題は加害者に甘い日本の法体系である。性悪説を前提に備えるべきである。法整備の現場に被害者が直接関わっていないことが、実効性を危うくしている。