虐待情報を児相と警察が瞬時に共有 全国初、埼玉県がシステム試験運用
飯田樹与 (2020年1月16日付 東京新聞朝刊)
全国的に児童虐待事件が相次ぐ中、埼玉県は、県が管轄する児童相談所が把握した全ての虐待事案を、県警の各警察署とリアルタイムで情報共有するシステムを構築した。県によると、全国初の試みという。8日から試験運用を始めており、不具合がなければ今月下旬に本格稼働させる。市民から通報を受ける児相と警察署がきめ細かく連携し、虐待の早期発見と対応に取り組む。
情報更新を月1回→1時間おきに 連携して早期発見
県は2018年8月から、児相が把握した全虐待事案を県警と共有しているが、各警察署は県警本部を通じて子どもの氏名や住所、虐待の種別といった内容を確認しなければならず、情報更新も月に1回だった。
これに対し、新システムは対象の子どもごとに過去の通告状況や一時保護歴など、より詳細な情報が1時間おきに更新され、県内39の全警察署から閲覧できる。例えば、虐待の恐れがあるとの通報を受けた署員が署内の端末から直接情報を確認し、速やかに児相と連携、保護することができる。まず県管轄の7児相でスタートし、政令市のさいたま市が管轄する児相も今後、参加する予定。
県によると、18年度の児童虐待通告件数は約1万5000件で過去最多。うち警察からの通告が全体の65%を占め、年々増えている。