八王子にプレーパーク誕生 子どもが自分の責任で自由に遊ぶ、昔の空き地のような場に
地域住民が運営「子どもに口出ししない」
中央線沿線の住宅街の一角にある「天神町ぼうけんひろば」では、スコップやバケツを持って泥遊びをしたり、遊具を昇って飛び降りたりする子どもたちの声が響く。
ひろばを運営するのは、地域住民らでつくる「八王子冒険遊び場の会」。メンバーの中山涼さん(29)は「子どもが『遊び』を作るのがプレーパーク。口出しはしないのが原則です」と話す。会では、開園前に遊具の安全確認やごみ拾いをするという。
ひろばの敷地は近くの本立寺が提供した。2年前まで住宅1軒があったが、住民の転居を機に土地活用の模索が地域で始まった。及川一晋(いっしん)住職(54)は「コインパーキングやアパートにするという意見もあったが、『ドラえもん』に出てくる広場のような光景が浮かんだ」と話す。
幼いころ、寺の周辺は区画整理中だった。工事の途中で一時的にできた空き地は、子どもたちが自然と集まって遊ぶ場所になっていた。「当時の町並みは戻ってこないが、今とこれからの子どもたちにとって記憶に残る場所になってほしい」と期待する。
八王子冒険遊び場の会とともに昨年8月からひろば作りが始まり、今年3月に完成した。遊具やあずまやには、賛同者らが家族ぐるみで伐採した奥多摩の間伐材を活用。敷地に残っていた住宅跡の石やコンクリートも手作業で拾い集め、整備の段階から地域の住民らが作業に携わった。中山さんは「みんなの力で遊び場ができた」と話し、かつての風景が戻りつつあることを実感している。
開園時間は毎週水曜日の午前10時~午後5時。利用は無料。月に1度、イベントの開催も計画している。問い合わせは、八王子冒険遊び場の会の数馬田(かずまた)実香さん=電話090(2643)6317=へ。
プレーパークとは
子供たちが工夫し、遊びを作り出す欧州の冒険遊び場が原型。日本では、世田谷区の住民たちが1979年、公園内に「羽根木プレーパーク」を整備したのが先駆けとなり、全国に広がっている。