あなたの寄付で絵本を届ける「ブックサンタ」 希望家庭がコロナ禍で倍増 広がる支援の輪
家計が苦しくプレゼントは…「心苦しい」
今年で5年目となる「ブックサンタ」は、取り組みに参加する書店で贈る側が絵本を購入し寄付すると、主宰するNPO法人チャリティーサンタ(東京)が絵本を取りまとめ、サンタクロースに扮したボランティアが24日のクリスマスイブに、各地の家庭に絵本のプレゼントを届ける。
昨年から続く新型コロナウイルスの影響で、ブックサンタを希望する家庭は昨年の倍に近い2118件に上った。「どこにも遊びに連れて行ってあげられず、習い事もさせてあげられない」「経済的な理由でプレゼントを用意することができないので、クリスマスは心苦しいイベント。今年はわが家も喜ぶ顔が見られたらうれしい」など切実な声が届く。チャリティーサンタ代表理事の清輔夏輝さん(37)は、「希望する家庭からのアンケートを読むと、世の中全体の状況が深刻になっていると感じる」と話す。
新たに154店舗 洋書の専門店も初参加
今年は新たに154の書店が加わり、全国42都道府県の461店舗に拡大。初めて洋書絵本の専門店も参加する。東京都豊島区にある「絵本の家」は、日本でも愛され続ける「がまくんとかえるくん」や「はらぺこあおむし」など海外の絵本の原書をはじめ、さまざまな言語の絵本、日本人作家の絵本を翻訳したものなどを取りそろえている。
初参加の絵本の家事業部の上野紋華さん(45)はツイッターでブックサンタの取り組みを知った。「個人的に寄付したいとやってくるお客さんもいるが、書店から寄付を発信するのは難しい。ブックサンタは仕組みがシンプル。ぜひうちも参加したいと思った」と話す。
母国語が日本語でない子どものためにも
これまでお店でブックサンタに選ばれた絵本は、ロングセラーの海外絵本の原書、英単語を絵で知ることができる辞典、ヨシタケシンスケさんら日本人作家の作品の英語版や、日本の歳時記について書かれた本を英語に訳したもの、英語のしかけ絵本や図鑑、地図絵本など多岐にわたる。
上野さんによると、海外の絵本は輸入品であることもありコストがかかったり、物価の高い国や地域ではもともとの価格が高いなど、日本で売られている絵本よりも高価なものが多い。そのため、手にする機会がほとんどない子もたくさんいる。「母国語が日本語ではない子もいる、多言語の絵本を待っている子もいるはず」と上野さんは必要性を訴える。
寄付は12月24日まで受け付けています
ブックサンタは今年からフードバンクや一人親支援の団体、子ども食堂、大学病院の小児病棟など全国120の子ども支援団体とも連携し、NPO法人だけでは届けられない地域の子どもたちへも絵本を届ける。寄付された絵本の数は昨年は2万376冊、今年は12月14日時点で2万1491冊。「クリスマス以外でも絵本を贈ってほしい」という要望があり、絵本の寄付の冊数も増えたことから、子どもの誕生日など特別な日のプレゼントとして希望する家庭へ贈る取り組みも始める予定だ。
絵本を受け取る側の申し込みは終了。寄付は12月24日まで受け付ける。参加書店などの詳細は「ブックサンタ」の特設サイトで紹介している。
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