「こども家庭庁」法案が審議入り 教育行政は文科省から移管する? 名称に「家庭」入れるべき?
政府案は「教育行政は文科省に残す」
政府案は、妊産婦や小学校に入学する前の子どもがいる家庭への支援のほか、虐待防止、少子化克服、子どもの貧困対策に取り組む。他省庁への勧告権を付与する一方、幼稚園から高校までの教育行政は引き続き文科省に残す。
こども家庭庁と文科省に権限が分かれるため、包括的な支援に支障が出るのでは、との声もあるが、岸田文雄首相は19日、「教育行政は(文科省とこども家庭庁が)相互調整し、密接に連携する方が政策の充実になる」と強調した。
独立機関「コミッショナー」も設置?
立民の対案は教育行政を文科省から「子ども省」に移管した上で、政府から独立した機関「子どもコミッショナー」設置なども盛り込んだ。行政機関に関する勧告権を持ち、子どもの現状に関する調査も行う。
法案の提案理由を説明した城井崇氏は「18歳までの教育を担うことで、いじめや不登校の問題にも取り組むことができる」と指摘。現在は中学生までとなっている児童手当の支給対象を高校生までに引き上げることも明記した。
維新の対案も子どもの教育と福祉にかかわる部局を「教育子ども福祉省」に一元化するのが柱だ。
自民保守系「家庭で」…立民から異論
本会議ではこども家庭庁の名称についても質疑が交わされた。政府・与党は当初、「こども庁」を軸に検討していたが、自民党の保守系議員から子育ての責任は家庭が負うべきだという反発が相次ぎ、「こども家庭庁」に変更した経緯がある。
立民の森山浩行氏は「家庭では抱えきれない課題がたくさんあり、家庭内の児童虐待も増えている」として、名称に「家庭」と入れることに疑問を呈した。
ヤングケアラー支援はどうあるべき? 元当事者「僕は見つけてもらえなかった」
包括的な支援体制を整えてほしい
中学生の時から介護に明け暮れる宮崎さんの家庭の事情を、中学や高校の教諭、自宅に出入りする介護ヘルパーは知っていたが、それぞれの仕事を超えて支援の手を差し伸べられたことはなかったといい「僕は見つけてもらえなかった」と振り返る。
27歳で難病支援ボランティアに参加したのを機に、周囲にも似た境遇の若者がいることが分かり、同世代の3人で一般社団法人ヤングケアラー協会を設立。今は当事者たちの交流事業や、進路・就職などの相談支援を行う。
新たに立ち上がる子ども政策の司令塔にはこれまでのような縦割りの発想を排して「福祉や教育、医療、地域が連携した支援を実現してほしい」と話す。
ヤングケアラーは学校や医療、福祉の現場などで把握されることが多い。政府が実態調査をしたばかりで、包括的な支援策がほとんど行われていない。