ひとり親家庭を物価高が直撃「米が買えなかった」56% コロナより深刻 支援団体調査
上坂修子 (2022年11月16日付 東京新聞朝刊)
食料品や日用品などの物価高騰は新型コロナウイルスの感染拡大よりも、ひとり親家庭の家計に深刻な影響を与えていることが、支援団体の全国調査で分かった。コロナ禍による収入減に、物価高が追い打ちをかけている形で、支援団体は公的支援の拡充を求めている。
「肉や魚を買えなかった」は76%
調査は、ひとり親家庭の支援団体の全国組織「シングルマザーサポート団体全国協議会」が10月、支援を受ける会員を対象に実施。約2800人が回答した。
物価高とコロナ禍のどちらが家計への影響が厳しいかを尋ねたところ、61%が「物価高騰のほう」と答えた。「コロナのほう」は7%、「同じくらい」は32%だった。47%が収入が「減った」と回答し、76%が支出が「増えた」と答えた。
具体的な商品の購入に関する質問では、米などの主食が買えないことがあったとの回答は56%。肉や魚を買えないことがあった人は76%で、81%が靴や衣類の購入を控えていた。
対策「親の食事を減らす」が62%
家計悪化への対応策を尋ねたところ「親の食事の量や回数を減らした」と答えたのは62%。「子どもの食事の量や回数を減らした」との回答も7%あった。他に「暖房を入れない」が69%、「入浴回数を減らす」は34%だった。
自由記述には「学校の靴や上履きを買えず、足が痛いと言っているが我慢して履かせている」「高校の弁当も作れず、学校を休ませた」「コンビニの廃棄弁当を拾う」といった切実な声が並んだ。
調査を行った協議会の代表でNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長は「毎月食糧支援を実施しているが、支援希望者が多くて初めて抽選にした。民間団体の活動には限界がある。ひとり親を対象にした児童扶養手当の増額などの公的支援を充実してほしい」と訴えた。