この貧しさが政治家にわかりますか。コロナ禍直撃のひとり親家庭「食料品だけでも消費税をなくして。最低賃金を上げて」

沢田千秋 (2022年7月2日付 東京新聞朝刊)
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6月上旬、都内で「ママ、大変そうだから守りたい」と話す7歳の長男(右)と女性(沢田千秋撮影)

 新型コロナウイルスの感染拡大から2年半。不安定な社会生活と雇用環境、厳しい行動制限は、貧しい存在をより追い込んだ。都内のひとり親の女性(45)は、長期の戦いに息切れしそうになりながら「貧しい家が現実にたくさんあると、目を開いて見てほしい」と、政治に求める。

DV夫から逃げて離婚 収入は10万円  

 「私が妊娠して働けなくなってから彼は変わった。外食時は子どもの分しか出してくれず、残り物を食べた。子どもが泣く前で、腕をひねり上げられ『小指を折る』と言われ、殴り倒され、横顔を踏まれた」

 女性は長男(7つ)の出産直後に離婚を決意。地域の支援員らの協力で隠密に準備し、2016年1月、大雪の日に家を出た。「雪につんのめりながら、必死にベビーカーを押した」。当時、小学生だった長女(18)を学校で引き取り、生まれ育った街から逃げた。

 3年間の裁判で離婚が成立。元夫には養育費の支払い義務があるが、コロナ禍による収入減を理由に送ってくれない。ひとり親世帯向けなどの子育て手当の合計は月8万4000円。ただ、都民住宅の家賃7万円が重い。昨年5月に子宮全摘出の手術をし、心身ともに衰弱。時給1050円のアルバイトに1日7時間、週4日通い、収入は10万円程度だ。

 「コロナで長女が感染したり、長男の学校が休みになったりして、半月働けないこともあった。休むと収入に直結する」。JRの駅前で、大きなカートを引いて食料支援の列に並び、学用品はフリマアプリに頼る。「量販店で、長男に『お菓子、好きなの選んでいいよ』と言ったら、『ママのお金なくなっちゃうからいらない』って」。そう言うと、目を潤ませた。

コロナで増えた寄付 政治の役割は?

 コロナ禍に物価高。「政治家は仕立てのよいスーツを着て料亭で食事して貧困が分かるのか。食料支援の列に並んでごらんよ」。せめて、食料品だけでも消費税をなくしてほしい。最低賃金を上げてほしい。なぜなら、女性には生きる目標がある。「自分が飢えても、子ども2人は大学に行かせる。自立させ、貧困の連鎖を切る」

 ひとり親を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」は、毎月約2500世帯に支援物資を送る。「食料が尽きた」「米がなく小麦をすいとんにして食べている」など、相談メールが日々数十件。理事の小森雅子さん(58)は「特に第6波で休校が相次ぎ、親が働けなくなった」と話す。一方、「コロナで寄付金は増えた」という。

 2020年、全国民に配られた新型コロナ対策の特別給付金10万円をそのまま寄付する人が相次いだ。小森さんは訴える。「社会保障は政治がすべきだと学校で習ったのに、政治がやらないから人々が自ら寄付した。子育て世代はお金が必要。政治は富の再分配を」

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年7月2日

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