子どもの写真をSNSに投稿する時の注意点 個人が特定され…いじめや悪用、犯罪のリスクも
中3女子の投稿に、男子が偶然を装って
東海地方の会社員女性(38)は、大学1年の長女(18)や中学3年の次女(15)が画像や動画を共有できるアプリ「インスタグラム」を愛用しており、「びっくりすることが多い」と明かす。
次女は、投稿後24時間で消えるインスタの「ストーリーズ」という機能で、自身の近況を親しい友人のみに公開。だが、ある時、友人とカフェにいる場面を投稿するたび、偶然を装い同じ学校の男子が現れるようになった。次女は「会いたくないのに」とこぼし、リアルタイムでの投稿はやめた。
一方、長女はインスタに友人とのツーショットを投稿したところ、友人から「私の目が死んでいる」と文句を言われ、写真を改めた。女性は「どんなトラブルに発展するか分からず、怖い」と話した。
藤川さんは「ネット上に写真を上げる時は悪用されたり、犯罪に巻き込まれたりするリスクを考えて。ネットの写真はほぼ永久に残り、不本意な形で顔が出るのは許されるべきでない」と注意を促す。特に顔や学校名、名札など個人の特定につながる情報は隠そう。
「孫の写真を公開したい」祖父母には?
祖父母に配慮を求めたい時もある。関東地方の30代女性は、店を営む義母がブログに家族の話題を書くことに悩んでいる。義母は子どもの顔は隠しているが、両親の顔や店の情報はそのまま。女性の帰省などの話題を書くこともあり、周囲で心配している。最近の60代は日ごろからSNSを活用し、孫の写真を公開したい人が一定数いる。藤川さんは「本人や家族に必ず同意を得てから投稿して」と指摘。家族との関係も悪化しかねないほか、孫などの安全をおびやかす可能性もある。
保護者同士や子ども同士でも同意は必要だ。「幼い子どもは意思を表明できないが、出してほしくなかったと将来思うかもしれない。保護者も本人が恥ずかしいと思うような表情のものは控えて」と藤川さん。
子ども自身の投稿は、ネット上でのいじめや危険につながることもある。警視庁の2019年度の調べによると、高校生の半数以上はSNSに勝手に写真をアップされた経験があった。
藤川さんによると、仲の良い4人組の中で1人がいない写真をあえてアップしたり、誰のことを言っているかはっきり分からない悪口を投稿したり、といったいじめが目立ってきているという。
おかしいと感じたら、スクショで保存
「不快な思いをしたり、おかしいと感じたりしたらスクリーンショット(画面保存)して。証拠があると教諭も『あなたは違うと言うかもしれないが、相手が嫌な思いをする投稿は駄目だ』などと指導しやすい」と助言する。
SNSのトラブルを防ぐ手段としては、スマートフォンのフィルタリングがある。保護者がスマホの機能を制限し、使える時間も監督できるが、不便になるため使わない人も多い。総務省の2020年度の調査では、利用者は4割弱だった。藤川さんは「ネットはいじめや犯罪の入り口になるが、その根っこには不安定な精神状態などがある。表面的なネット利用でなく、その子の気持ちを受け止める関係を育んでほしい」と訴えた。