〈絵本さんぽ〉都立大学 ニジノ絵本屋 出版にワークショップに音楽に…小さくてもパワフル! 作り手と読み手の架け橋に
魅力的な絵本の店を記者が訪ね、紹介します。
壁一面ギャラリーのように並ぶ絵本
東急東横線・都立大学駅から3分ほど歩くと、小さな絵本屋がある。「ニジノ絵本屋」。店内には厳選した絵本が壁一面、ギャラリーのように並ぶ。店主のいしいあやさんは「作り手の顔が分かるような絵本を選んでいます」とほほ笑む。
絵本とは無縁の会社員だったが、2011年、目黒区内の別のビル3階の一角で絵本屋を始めた。同じフロアに小児科、下の階に幼児教室が入っていることに着目。「たくさんの子どもがやってくる。絵本屋さんが頭に浮かんだんです」
はらぺこめがねデビューのきっかけ
開店当時、小さな書店は取り次ぎをしてもらえず、仕入れなどに苦労したという。そこで「自分たちで絵本を作ったらいいんじゃないか」と考え、イベントで出会ったイラストユニットはらぺこめがねの2人に「一緒に絵本を描いてみませんか」と持ちかけた。2人のデビュー作「フルーツポンチ」はここから生まれた。さまざまな絵本作家の作品を今も出版している。
2017年、今の場所に移転し、路面店としてリニューアルオープン。絵本の原画展、作家志望者向けの絵本づくりのワークショップ、子どもたちへの読み聞かせなども開催している。
ニジノ絵本屋に所属しているバンド「ザ・ワースレス」
特にスタッフの中田憲介さん、生島(おじま)望さんらのバンド「The Worthless(ザ・ワースレス)」による絵本を題材にした歌や楽器演奏のパフォーマンスは人気だ。幼稚園や小学校を訪ね、商業施設のイベント、サマーソニックなどの音楽フェスにも参加している。中田さんは「いろんな形で絵本の魅力を届けていきたい」と意気込む。
幅広い活動を展開するが、「軸には必ず絵本があるんです」と店主のいしいさん。「虹」の七色と本を組み合わせた店のロゴは、2021年にがんで亡くなった妹でデザイナーの中島ナオさんが描いた。作り手と読み手の架け橋になる店を目指し続ける。
ニジノ絵本屋
住所:東京都目黒区平町1-23-20
電話:03(6421)3105
火水定休、正午~午後6時