〈絵本さんぽ〉都立大学 ニジノ絵本屋 出版にワークショップに音楽に…小さくてもパワフル! 作り手と読み手の架け橋に

(2024年2月10日 東京新聞朝刊に加筆)

絵本さんぽ

 魅力的な絵本の店を記者が訪ね、随時紹介します。

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都立大学にあるニジノ絵本屋の外観=東京都目黒区で

壁一面ギャラリーのように並ぶ絵本

 東急東横線・都立大学駅から3分ほど歩くと、小さな絵本屋がある。「ニジノ絵本屋」。店内には厳選した絵本が壁一面、ギャラリーのように並ぶ。店主のいしいあやさんは「作り手の顔が分かるような絵本を選んでいます」とほほ笑む。

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厳選された絵本が壁一面に並ぶ

 絵本とは無縁の会社員だったが、2011年、目黒区内の別のビル3階の一角で絵本屋を始めた。同じフロアに小児科、下の階に幼児教室が入っていることに着目。「たくさんの子どもがやってくる。絵本屋さんが頭に浮かんだんです」

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ニジノ絵本屋店主のいしいあやさん

はらぺこめがねデビューのきっかけ

 開店当時、小さな書店は取り次ぎをしてもらえず、仕入れなどに苦労したという。そこで「自分たちで絵本を作ったらいいんじゃないか」と考え、イベントで出会ったイラストユニットはらぺこめがねの2人に「一緒に絵本を描いてみませんか」と持ちかけた。2人のデビュー作「フルーツポンチ」はここから生まれた。さまざまな絵本作家の作品を今も出版している。

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ニジノ絵本屋から出版された絵本などが並ぶ

 2017年、今の場所に移転し、路面店としてリニューアルオープン。絵本の原画展、作家志望者向けの絵本づくりのワークショップ、子どもたちへの読み聞かせなども開催している。

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絵本作家の原画を飾るギャラリー。月ごとに作家が変わる

ニジノ絵本屋に所属しているバンド「ザ・ワースレス」

 特にスタッフの中田憲介さん、生島(おじま)望さんらのバンド「The Worthless(ザ・ワースレス)」による絵本を題材にした歌や楽器演奏のパフォーマンスは人気だ。幼稚園や小学校を訪ね、商業施設のイベント、サマーソニックなどの音楽フェスにも参加している。中田さんは「いろんな形で絵本の魅力を届けていきたい」と意気込む。

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店内では読み聞かせなどのイベントも開催される

 幅広い活動を展開するが、「軸には必ず絵本があるんです」と店主のいしいさん。「虹」の七色と本を組み合わせた店のロゴは、2021年にがんで亡くなった妹でデザイナーの中島ナオさんが描いた。作り手と読み手の架け橋になる店を目指し続ける。

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ニジノ絵本屋の看板と店主のいしいあやさん

ニジノ絵本屋

住所:東京都目黒区平町1-23-20

電話:03(6421)3105

火水定休、正午~午後6時

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