渋谷「こどもの城」復活を!市民団体が活用策シンポで探る

(2018年11月24日付 東京新聞朝刊)
 閉館中の「こどもの城」(東京都渋谷区神宮前5)のこれからを市民目線で考えるシンポジウムが23日、渋谷区内で開かれた。「子どもの居場所を」「バリアフリーの空間を」と、復活を求める声が多く上がった。

東京都が購入の方針を示している旧こどもの城=渋谷区で

子どもたちの居場所であってほしい 提案続々

 都は2020年東京五輪・パラリンピックの運営サポート拠点として利用後、複合型の公共施設として整備する方針を示している。

 シンポジウムは、かつての利用者や演劇関係者でつくる「こどもの城、青山劇場、青山円形劇場の存続を願う有志の会」の主催。親子連れや近隣住民らが参加した。

 保育の専門家や保護者、子どもが登壇。日本保育推進連盟の大島和彦・筆頭副会長は「子どもたちが触れ合いの中で、譲り合いやハンディを持った人への理解を学べる」と施設の存在価値を訴えた。環境デザイン学を専攻する早稲田大人間科学部3年の二宮蓮夢(れん)さん(22)はこどもの城での経験を元に「子どもたちの居場所としての大型施設をつくりたい」と構想を語った。

俳優・八嶋智人さん 劇場で聞こえる子どもたちの声がいい

 特別ゲストの俳優八嶋智人さんは「僕らが劇場で死んでいる(演技をしている)壁1枚向こうで、子どもたちがキャッキャ言っているというのがいい。ジェンダー、年齢、身体の違いも全て受け入れる、バリアフリーの空間を」と呼び掛けた。

 会が開催前約1カ月間にインターネット上で募集したアンケートには、779人から回答が集まった。「修理以外に手を加えないで、今の建物・施設をそのまま使ってほしい」という意見が6割を超えたという。会では意見を集約し、都に提言する予定。再開を求める署名活動などをしてきた会事務局の洪愛舜(ほんえすん)さん(40)は「閉館して3年、いろいろな動きがあったが、復活のきざしが見えた。今の建物を生かしてほしい」と期待を込めた。

こどもの城の活用法について意見を出し合ったシンポジウム=渋谷区で

こどもの城

 1985年、児童の健全育成を目的に開館した国立総合児童センター。約1万平方メートルの敷地に体育室やプール、造形スタジオなどがあり、大小の劇場も併設していた。厚生労働省が老朽化などを理由に2015年3月末に閉館。都は今月、土地と建物を国から購入するため19年度予算案に609億円を計上する方針を発表。五輪後に100億円以上をかけ子どもから高齢者までが利用できる複合型施設として整備する。