〈えほん〉「うえをみて!」絵と文 チョン・ジンホ 訳 斎藤真理子

(2024年10月2日付 東京新聞朝刊)

(長壁綾子撮影)

 事故がきっかけで車いすで生活する子ども・スジ。部屋のベランダから、道を歩く人たちを見下ろす。

 「アリみたい」。スジからは、真っ黒い頭が見えるだけで、皆急いで通っていく。「わたしここにいるよ。だれでもいいから…うえをみて!」

 「そこからじゃ、よくみえないでしょ?」。ある日、誰かがスジに気づき、声をかけてくれて…。

 車いすの主人公が、外の世界と出合い直すまでを描いた韓国の絵本。モノクロで描かれたイラストが、少女の心の動きを表す。願いがかなった後の、スジの笑顔が美しい。

 1650円。ハッピーオウル社=電話03(5276)6031。