「子どもが本を読んでくれなくなった」と悩む保護者の方へ 絵本担当の私もそんな子どもの一人でしたが…
長壁綾子 (2024年6月7日付 東京新聞朝刊)
絵本を読むことも「読書」です
「絵本をたくさん読み聞かせしてきたのに、なかなか子どもが本を読んでくれなくなった」という悩みを、保護者からよく聞きます。小学校に上がるまでは本に触れる機会がたくさんあるのに、成長するにつれて読書以外の娯楽や勉強、習い事などに時間を使うようになり、本から離れてしまう子も多いそうです。
5月31日に連載「絵本さんぽ」で紹介した絵本の専門店「Main Tent(メインテント)」店主の冨樫チトさん(47)に、どうすれば小学生以降の子どもが本を読むようになるのか尋ねると、3つのアドバイスをしてくれました。
まず、家の中に本がある環境をつくること。次に、親が家で本を読む姿を子どもに見せること。そして、子どもが今までに読み聞かせをしてもらってきた絵本を読むことも「読書だ」と認めること。「『絵本は文字が少ないから』と否定しないでください。絵本を1冊読み切ることで得られることがたくさんあります」と冨樫さんは言います。
父が絵本専門店からアドバイス
実は私も、本から遠ざかってしまった子どもの一人でした。小学校中学年の頃、そんな私に父が2冊の本をプレゼントしてくれました。「本をたくさん読んでほしい」と考えていた父が、地元にある絵本専門店で「本嫌いな子も喜んで読む」とすすめてもらった児童書でした。夢中になれる作品と出合ったことで、私はまた本に親しむようになりました。
「どんな本が面白いか迷ったら、ぜひお店にきてください」と冨樫さんは呼びかけます。子どもにすすめる本に悩んだら、冨樫さんのような人の力を借りるのも一つの手です。「絵本さんぽ」では今後も、子どもと本をつなぐ人や場所を紹介していきます。