旧こどもの城の再整備 東京都の有識者会議が「中止」の見解 147億円かけて利用数年「現実的でない」
鷲野史彦 (2022年4月26日付 東京新聞朝刊)
東京都渋谷区の旧「こどもの城」(2015年閉館、現在は仮称・都民の城)を改修して再整備する都の計画を巡り、周辺都有地の一体的な活用方法を検討する都の有識者会議は25日、改修について「現実的なシナリオではない」として中止すべきとの見解で一致した。現計画では改修に147億円かかる上、利用期間も数年で、都議会からも中止を求める声が上がる。都は「速やかに方向性を検討したい」としている。
2023年オープン目指したが遅れ
東京都が2020年2月に策定した計画では、旧こどもの城を改修し、学習支援施設などを整備して最短で2023年のオープンを目指していた。しかし昨夏から新型コロナウイルスの対応施設に使われ、整備が遅れている。
都は一方で、隣接する青山病院跡地、国連大学、複合施設・コスモス青山を含めた都有地は計約45000平方メートルに上るため、2029年以降に都民の城を解体し、一体活用することを検討。都民の城の利用は数年にとどまる可能性がある。
災害時の避難場所などの活用案
この日の会議では、委員は計画について「せっかく改修して1年から数年で解体はまずない」と指摘。都は改修後に20年間使うケースも例示したが、改修せずに建物を新築する時より二酸化炭素排出量が大幅に増えるため、委員は計画中止で一致した。
委員らは一体活用の方向性について「デジタル技術を活用したクリエイター、住民、来街者の創作、鑑賞、交流」「災害時の一時避難場所として機能する都心のゆとり空間」などを挙げており、都は今後、都民の城の再整備をどうするかや、具体的な活用方針を検討する。