角野栄子さんの「魔法の文学館」11月3日オープン 「魔女の宅急便」の世界で本との出会いを楽しめる

加藤健太、長壁綾子 (2023年10月24日付 東京新聞朝刊)

「いちご色」でコリコの町をイメージした「コリコの町の本棚」のエリア

 「いちご色」は魔法の色? ジブリ映画「魔女の宅急便」の原作者として知られる児童文学作家、角野栄子さん(88)のこだわりが詰まった「魔法の文学館」が11月3日、江戸川区にオープンする。メディア公開でひと足先に館内に入り、子どもたちを読書にいざなう魔法の正体を探った。

花びらが広がるようなデザインの屋根

 東京メトロ東西線葛西駅の南東、旧江戸川沿いにある区立なぎさ公園。魔法の文学館の真っ白な外観が澄んだ秋空に映えていた。緩やかな丘に沿って造られ、花びらが広がるようなデザインの屋根が目を引く。国立競技場などを手がけた建築家、隈研吾さんの事務所が設計した。

白い壁面と屋根が特徴的な外観

 館内に入ると一転、館長の角野さんを象徴する「いちご色」に包まれた。魔女の宅急便の舞台となった海沿いの「コリコの町」をイメージし、本棚や壁面は楽しげな三角屋根や煙突の形に。いすやソファに隠れ家のような一角もあり、子どもたちがあちこちで座ったり寝転んだりして本を開く姿が目に浮かんだ。

小学1~3年生が楽しめる物語が1万冊

 「1冊読み終わって帰るのにちょうどいい長さの物語を選んだ。帰り道に読んだ本のことを想像してもらえたら」。角野さんは17日のオープニングセレモニーで、選書に込めた思いを話した。1階と2階の本棚には魔女の宅急便や「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ」シリーズといった代表作をはじめ、小学1~3年生が楽しめそうな物語を中心に約1万冊が並ぶ。

細かく分類せず並べられた本

 本の並べ方にもこだわりが潜んでいた。対象年齢で大まかにエリアを分けた以外は、図書館のように作者やテーマごとにそろえず、あえて無作為に配置。「目当てじゃない本との出会いを楽しんでほしい」という願いを込めた。

読む場所は自由 テラスや芝生もOK

 読書スペースは決められておらず、子どもたちは好きに選んで好きに読める。天気が良ければテラスや、隣接する芝生広場に本を持ち出すこともできる。

 角野さんは6日、東京新聞などのインタビューで「親が読み聞かせする機会はたくさんあるけれど、自分で本を読む子は少なくなっていないか」と疑問を投げかけた。その上で、子どもたちが自ら本を手に取る大切さを語った。「ページをめくりながら発見したり、驚いたり、想像したりする。本にはそうした心の動きがある。だから読んでほしい」

0歳児から本を楽しめる「ライブラリー」

 館内はグッズショップやカフェ、授乳室を併設。ベビーカーのまま回ることができるほか、赤ちゃんがハイハイをしながら本に触れられるコーナーもある。

国際アンデルセン賞受賞がきっかけ

 魔法の文学館は2018年、角野さんが「児童文学のノーベル賞」といわれる国際アンデルセン賞を受賞したのをきっかけに、角野さんが3~23歳を過ごした江戸川区が建設を提案して実現した。角野さんの功績を広める目的もあり、仕事場を模したコーナー「栄子さんのアトリエ」には直筆原稿や絵の具などが飾られ、創作活動の一端を知ることができる。

角野さんの仕事場を模した「栄子さんのアトリエ」

 江戸川区によると、内装が6億円、建物が12億円で総工費は18億円。

 15歳以上700円、4歳~中学生300円。火曜休館。来館には公式サイトから予約が必要。問い合わせは=電話03(6661)3911=で受け付ける。

角野栄子(かどの・えいこ)

 1935年生まれ、東京都出身。代表作は「魔女の宅急便」など。2018年児童文学の「小さなノーベル賞」と言われる国際アンデルセン賞を受賞。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年10月24日

コメント

  • こんな建物がオープンしてたなんて。 ぜひ行ってみたい。 知らせて下さってありがとうございました。
    くるみ 女性 40代