「パパ、スッゲー!」とは誰も言わない〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉
「10万円給付」。この家族、確か子どもが4人だよな。みんな18歳はいってないだろうから、40万円もらえるんじゃないか!? ちょっと待てよ。このカメラマンのお父ちゃんの年収は? 所得制限に引っ掛かりそうか? いやいや、この感じだとそこまで稼いでないだろう。
とかなんとか、金曜日の朝から僕の年収について、読者の皆さんがあれこれ考えていませんように。「そこまで稼いでいません」とだけお伝えして、いつものうちの家の話をしたいと思います。
僕には趣味がない。散歩、映画鑑賞や読書は好きで趣味といえるけど、スキー、釣り、キャンプなど、週末に「おーい子どもたち、お父さんが手本見せてやるからな」「パパ、スッゲー! また来週もこようね!」なんて趣味がない。
なので、この日曜日も家族で何をしようか悩んでいたら、長男が「一人一品、商店街で何か好きなものを買って、神社のベンチに座って食べよう」と言い出した。さすがはわが家の長男。なんてエキサイティングな週末にふさわしいイベントを思いつくんだ。ということで、みんなぞろぞろと歩いて駅前までいく。
僕 マクドナルド フィレオフィッシュ。
妻 モスバーガー モスシェイク。
長男 崎陽軒 シウマイ。
次男 鳥一 焼き鳥の皮。
三男 ちよだ鮨 納豆巻き。
四男 三男の納豆巻きをもらって口に入れてすぐに出す。
妻にいくらかかったか聞かれたので、「2600円ぐらい」と答えると、「まあまあ使ったな」と渋い顔で言われる。またぞろぞろと歩いて帰った。「パパ、スッゲー! また来週もこようね!」とは、やっぱり誰も言わなかった。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)
写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。11歳、9歳、4歳、1歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。
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