〈清水健さんの子育て日記〉26・幼稚園最後の運動会 あふれ出す思い出にカメラを持つ手が定まらない

(2020年10月23日付 東京新聞朝刊)

なぜか痛さ自慢をしたり(笑)

注射「もう年長さんだから」と強がって

 「大丈夫、ひとりで座る」。インフルエンザの予防接種。先生から「お父さんの膝の上に座りますか」と聞かれた息子は、不安そうな顔を見せながらも「もう年長さんだから!」と。

 かなり強がって、ガチガチに緊張している。パパも注射は苦手だったからよくわかる(笑)。我慢して涙をのみ込んで「ちょっと痛いけど、大丈夫」。そう話す息子の姿は、頼もしくもあり、抱っこする機会も少なくなっていくのかな、と少し寂しさも感じたり。強くなっています。

スタートラインに立つ息子を見て、思う

 カメラを持つ手が定まらない。息子の順番が近づくと、一気に、僕が緊張してきた。幼稚園ラストの運動会。夜、何度も「パパ、練習にいこう!」って誘われた、かけっこにクラス対抗リレー。決して速かったとは言えないけれど、約束どおり、しっかりと腕をふってゴールまで走りきっていました。

 紙を丸めた棒で、家でもリズム練習をしていた太鼓。みんながそれぞれに役割を果たし、運動場にかわいい鼓笛隊が広がる。これを一から教えた幼稚園の先生ってすごい! 拍手をもらった子どもたちも充実の表情。一緒に見ていたお友達のママとパパたちとも「頑張っていたね」。

 年長さんともなると、こうやって自然と話せる機会も増えました。周りの方々にも多くを助けてもらっている幼稚園生活。スタートラインに立つ息子を見ていたら、いろんなことを思い出して、後からビデオを見たら、やっぱり、ぶれているところが多かった。もらったメダルをママの写真にグルッとかけて「ママがメダルもらったみたいだね」。そう話す息子は確かに、成長の一歩を刻んでいます。

久しぶりに「おんぶ」をしたくなって…

 新型コロナの対策で、観覧は1家族2人までと制限があったけれど、秋晴れの中、無事に開催された運動会。終わって教室から出てきた息子が、ばあちゃんにうれしそうに抱きつき、幼稚園の門まで、しっかりガールフレンド(?)と手をつなぐ姿は、頑張ってくれているばあちゃんへの最高のご褒美になったかな。

 久しぶりに「おんぶ」をしたくなって、息子の前にしゃがんで背中を向ける。少し間があったけど、もたれかかってきた。照れながらも「これで疲れないね」とうれしそうな声を出し、でも、「パパも疲れたでしょ」って、トントンと肩をたたいてくれた。背中にかかる重さとその言葉に、成長と、まだまだこれからの子育てを感じます。(フリーアナウンサー)