ママがいないこと「吹っ切れてきましたよね」と言われて〈清水健さんの子育て日記〉31
小学1年生になった息子を毎朝見送って
「いってらっしゃい!」。そう言って息子の背中を押そうとするけれど、なかなか手を振れない。「ここからは大丈夫だよ!」。そんな息子の言葉を頼もしく思いながら、結局、通学初日は小学校が見えるところまで送ってしまった僕がいました。
「もう大丈夫だよね!」。自分自身にも言っているような言葉を息子にかける。送っていく距離は短くなっているけれど、毎朝、学校の正門を通ったことを知らせる通知が携帯電話に届くのが待ち遠しい。僕もパパとしての小学1年生です。
「お母さんは留守番かな?」と店員さん
先日、「はなちゃんのみそ汁」の著者、安武信吾さんと久しぶりにお話しする機会がありました。安武さんも奥さまを病で亡くされています。僕たちは今年、7回忌。安武さんご家族は昨年、13回忌でした。子どもたちは成長している。自分たち親の方がまだまだですね。お互いに近況報告をし、同じような気持ちで過ごしていることに安心します。僕たちは何も特別ではなくて、みんなと同じ。
あるお店に行った時、店員さんが、息子と僕、2人だけの姿を見て、「今日はお父さんと一緒なんだね! お母さんは家でお留守番かな?」。普通の会話です。気遣ってかけてくれた言葉でもあると思う。でも、その一言に、少し止まってしまうのも事実。僕のことに気付いて、店員さんがハッとする。
僕以上に、息子はその会話を当たり前のように受け入れているのかもしれない。でも、こうして初対面の人に気を使わせてしまったなということに落ち込む。笑っている姿をみて、「吹っ切れてきましたよね! よかった!」と声をかけてもらうこともある。うーん、それは、少し違うような。「ねえ」なんて、安武さんと笑いあいました。
ママがいれば、僕はどうしていただろう
ママがいれば。僕は朝の送りをしていただろうか。予想以上に時間がかかった入学前の持ち物の名前書き、妻に任せっきりだったんじゃないだろうか。ふと写真の前でそんなことも考えた新しい生活のスタート。
大好きなプロ野球、ソフトバンクホークス。仕事が早く終われそうで、「今日は早く帰るからね」と伝えた日は、僕が帰宅する頃には、すでに準備万端。夕方の公園で、バットとグラブを持って向かい合う。家に帰り、2人でメガホンや応援バスタオルを持って野球観戦。こんな毎日を笑いあって、こんな毎日を妻の写真の前で報告していきたい。(フリーアナウンサー)
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