妻を亡くして…乗り越えなくても、引きずってもいい 「同じ境遇」のそれぞれ〈清水健さんの子育て日記〉36
ある方からのメッセージ 決意と後悔と
久しぶりの銭湯へ息子と一緒に。2年前までは届かなかった靴入れの場所に手が届く。今までは僕の膝の上で入っていた深い湯船に一緒に肩までつかれる。「仕事の疲れがとれるな」。思わず出てしまった言葉を聞いて、小学1年の息子も同じように「あー、学校の疲れがとれるな」って(笑)。こんな普通の毎日が親としての喜びのひとつ。確かに息子はしっかりと成長してくれています。
ある方からメッセージをいただきました。「先日、家内が永眠しました」。初めてのメッセージは今年の3月。奥さまは乳がんと向きあわれていました。「今は頭が真っ白です」。その言葉とともに、「子どもたちのためにはい上がります」との決意。僕には何もできません。メッセージに全て答えることができないこともあります。
「子どもたちのために」。そう、僕たちには、一番、悔しい思いをしているであろう今は隣にいない妻との子どもたちがいる。「できることは全てやったつもりです」。そのような言葉もありました。「つもり」です。まだできたことがあったのではないかという後悔。
子どもたちに思ってほしくないことは
主宰するシングルファーザーのオンラインサロンでこの話をすると、みんなが当時のことを話してくれました。境遇という言葉でいうと、同じなのかもしれない。でも、決して、同じではない、みんなのそれぞれ。
僕たちみたいな家族は多くはないのかもしれないけど、みんなが言うのは、子どもたちに、「僕たちは悲しい」、そう思ってほしくないということ。そのために何ができるのか。それぞれが毎日を踏ん張っています。
もちろん、今までと同じようにいかないこともいっぱいある。「一緒に頑張りましょうね!」。そんなことしか言えないけど、メッセージをくださった方が、乗り越えなくてもいいし、いつまで引きずってもいい。今を頑張ってほしいと心から願います。
僕は、息子の成長とともにどう変われているのか。親としてどんな姿を見せられているのか。不安に思うこともいっぱいです。多くを助けてくれる家族が周りにいてくれます。仲間もいてくれます。でも、現実、親子は、ふたり。それでも、みんなに助けてもらいながら、ふたりで笑いあっている、そんな姿を妻に見せていきたい。10月、息子がまたひとつ大きくなりました。(フリーアナウンサー)
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