妻がいなくなって8年 寂しい思いを正直に〈清水健さんの子育て日記〉46
息子が8歳に 僕が決めていること
息子とふたりでの銭湯時間。何か特別なことを話すわけではない。広い湯船につかり、学校でのこと、お友だちとのこと、そして、大好きなソフトバンクホークスのこと。息子は、監督になった感じで、もう来シーズンのことで頭がいっぱい(笑)。好きなんだろうな。負けたシーンが出てくる機会が多いスポーツニュースは意地でも見ない。
息子が8歳に。またひとつ、大きくなりました。妻が、息子のママが僕たちの隣からいなくなってしまってから8年、息子の成長とともに、その年月が重なっていく。もちろん、息子の成長は何よりうれしい。でも、やっぱり、この現実に、寂しさを感じる自分もいる。「こんなもんです」。いつまでたっても。
僕はひとつ決めていることがある。寂しい、つらい、息子の成長を一緒に見たい。息子の成長が、妻の存在を僕の中で大きくしていることも含め、正直に話していこうと思っている。この日記でも、講演会や人に聞かれた時にも。
おめでとう、ありがとう、そして…
ママがいないことは息子にとっては「当たり前」で、妻の写真の前で手をあわせる時間も少なくなってはいる。全然、悪いことではない。でも、僕は知っている。運動会前の緊張している時やうれしいことがあった時、何か少し不安な時、いつもより長く手をあわせている息子がいる。
いつか、もしかしたらドンッと現実を悲しむ時がくるのかもしれない。でも、自信を持って言える。大丈夫、その時は、パパがいる、ばあちゃんがいる、家族がいる。
息子はもちろんだけど、息子以上に、その成長を喜ぶ、ばあちゃんの顔がうれしい。負担をかけてしまっている申し訳なさもある。これも正直な思い。家族だから余計に。まだまだ頼らないといけないことも多い。でも「頼る」と、今ここでもそう言える成長した(?)僕もいる。これも時間が教えてくれたこと。
妻の写真の前で「隣にいてよ」と言っても仕方がないけど、僕は妻に話しかける。そして、だんだんと生意気なことも時には言うようになってきた息子が、「こんなに大きくなってるよ」とも。
家族でのお祝いのあと、息子が満足した顔で寝ている。妻の写真の前には誕生日ケーキ。もう一度、妻に話しかける。おめでとう、ありがとう、そして、やっぱり隣にいない悔しさを。「こんなもんです」。もう一度、グッスリ眠る息子の顔を見て幸せを感じる。確実に時は進んでいます。 (フリーアナウンサー)
コメント