妻がいなくなって8年 寂しい思いを正直に〈清水健さんの子育て日記〉46

(2022年11月11日付 東京新聞朝刊)

息子のリクエストでイチゴを多めに!

息子が8歳に 僕が決めていること

 息子とふたりでの銭湯時間。何か特別なことを話すわけではない。広い湯船につかり、学校でのこと、お友だちとのこと、そして、大好きなソフトバンクホークスのこと。息子は、監督になった感じで、もう来シーズンのことで頭がいっぱい(笑)。好きなんだろうな。負けたシーンが出てくる機会が多いスポーツニュースは意地でも見ない。

 息子が8歳に。またひとつ、大きくなりました。妻が、息子のママが僕たちの隣からいなくなってしまってから8年、息子の成長とともに、その年月が重なっていく。もちろん、息子の成長は何よりうれしい。でも、やっぱり、この現実に、寂しさを感じる自分もいる。「こんなもんです」。いつまでたっても。

 僕はひとつ決めていることがある。寂しい、つらい、息子の成長を一緒に見たい。息子の成長が、妻の存在を僕の中で大きくしていることも含め、正直に話していこうと思っている。この日記でも、講演会や人に聞かれた時にも。

おめでとう、ありがとう、そして…

 ママがいないことは息子にとっては「当たり前」で、妻の写真の前で手をあわせる時間も少なくなってはいる。全然、悪いことではない。でも、僕は知っている。運動会前の緊張している時やうれしいことがあった時、何か少し不安な時、いつもより長く手をあわせている息子がいる。

 いつか、もしかしたらドンッと現実を悲しむ時がくるのかもしれない。でも、自信を持って言える。大丈夫、その時は、パパがいる、ばあちゃんがいる、家族がいる。

 息子はもちろんだけど、息子以上に、その成長を喜ぶ、ばあちゃんの顔がうれしい。負担をかけてしまっている申し訳なさもある。これも正直な思い。家族だから余計に。まだまだ頼らないといけないことも多い。でも「頼る」と、今ここでもそう言える成長した(?)僕もいる。これも時間が教えてくれたこと。

 妻の写真の前で「隣にいてよ」と言っても仕方がないけど、僕は妻に話しかける。そして、だんだんと生意気なことも時には言うようになってきた息子が、「こんなに大きくなってるよ」とも。

 家族でのお祝いのあと、息子が満足した顔で寝ている。妻の写真の前には誕生日ケーキ。もう一度、妻に話しかける。おめでとう、ありがとう、そして、やっぱり隣にいない悔しさを。「こんなもんです」。もう一度、グッスリ眠る息子の顔を見て幸せを感じる。確実に時は進んでいます。 (フリーアナウンサー)

コメント

  • シミケンさん!私も、半年前叔父をなくしました。 闘病中といっても、急なことだったので、未だに信じられません。 よく空を眺めて、写真を見つめて話しかけるようになりました。 寂しいですよね。 でも
    あーちゃん 女性 30代 
  • 私は、ごめんね、ありがとう、そして、、、です。 旦那が急死してもう6年。私は夫より年上になってしまい子供も9歳と12歳に。来年は7回忌です。私の子供達も手を合わせる回数が減ってます。でも、私も知
    ポン 女性 40代